出版社内容情報
人はなぜ衣服を着るのか。衣服は何をあらわしているのか。服飾に託す男女をはじめとする人間の心のあやを,江戸,明治,大正そして現代の文学をたずねて鮮やかに描きだす。
【目次】
第1部 衣服の意味論
Ⅰ 履物の風景
靴と下駄と鞋
履物の表情
Ⅱ 衣服の機能
「猫」の衣服論
帯とポケット
帽子の効用
軍服の美意識
Ⅲ 衣服の諸相
「着るもの」をめぐる言葉
衣服の語り
衣服への思い
第2部 近世日本の服飾
Ⅰ 文様の世界
文様の効果
連想の愉しみ
Ⅱ 趣向と流行
犀角作品の衣装物好き
歌舞伎と草双紙と服飾と
Ⅲ 服飾描写を読む
洒落本の衣装付け
「通」と「いき」の心情
第3部 近代の断片
Ⅰ 明治の西洋風
洋服の波紋
ハイカラ
Ⅱ 漱石の服飾表現
『坊ちゃん』の赤シャツ
運動会とフロックコート
「狐色」の肌
Ⅲ 服飾を見つめる視線
服装へのこだわり
失われゆく美感
服飾はいま
注
初出一覧
あとがき
内容説明
服飾に託す人間の心のあやを江戸・明治から現代の文学をたずねて鮮やかに描きだす。
目次
第1部 衣服の意味論(履物の風景;衣服の機能;衣服の諸相)
第2部 近世日本の服飾(文様の世界;趣向と流行;服飾描写を読む)
第3部 近代の断面(明治の西洋風;漱石の服飾表現;服飾を見つめる視線)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
timeturner
5
人はなぜ衣服を着るのか。衣服は何をあらわしているのか。人は服飾に何を求め、どのような心情を託すのか。江戸・明治から現代の文学作品の中に日本人と衣服の関係の変化を見ていく。明治の和洋折衷時代、ハイカラの語義の変遷、『三四郎』に登場する赤シャツに関する論考などが面白かった。2021/11/23
OjohmbonX
0
現代でもスーツの形や学生の私服も10年経てば雰囲気が変わる。同時代を生きている我々から見るとその差で時代感を感じ取れるが、例えば外国や数世代先の未来から見たら分からないだろう。江戸時代と一括りに言っても260年も続いたのだから、ずっと同じ格好をしているはずがないが、時代劇などではどの年代でもビジュアルが変わらないし分からない。本書は、江戸時代や明治~昭和の服飾に関して主に文学を題材に、当時の人々の価値観や感覚を浮かび上がらせる。男女間でのディテールの侵襲、洋服の定着、特定の色へのまじない的感覚など。2024/10/20