出版社内容情報
帝国日本の南洋への軍政拡大の中、そこに向かった女性作家たちはどんな心持で任務を引き受け、誰と会い、どのような風景を見たのか。
1940年代、帝国日本軍政下の南洋へ派遣された女性作家のテクストを中心に、女性たちの南洋体験の特徴と位相、そして日本の南洋統治の認識を考察する。銃後の女性に向けて「女性作家特有」の眼差しで語ることを求められた女性作家たちが、どのような心持で任務を引き受け、現地で誰と出会い、どのような風景を見てきたのか。 2024年度KUNILABO人文学学位論文出版助成受賞作。
【目次】
凡例
序章
1 本書の問題意識と研究意義
2 先行研究
3 本書の考察対象
4 本書の視点
5 本書の構成および各章の概要
第Ⅰ部 「南進」する女性の表象と語り
第一章 帰郷と異郷の間で揺らぐ女性の主体性――森三千代「国違ひ」と「帰去来」を中心に
はじめに
1 南洋に行き戻った日本人女性像
2 民族を超えた新しい家庭像
3 重層的な支配関係
結びにかえて
第二章 一九四〇年代における〈南進女性〉の言説の諸相――表象される〈南進女性〉と自己語りする〈南進女性〉を通して
1 文学――マスコミと「南進論」の連動
2 マスコミにおける女性の南進の推進
3 文学作品からみる〈南進女性〉の表象
4 座談会からみる〈南進女性〉の語り
結びにかえて
付録1 朝日新聞と読売新聞における「南進女性」と関連する記事 一九二〇-一九四五年
付録2 「南進女性」と関連する雑誌の記事
第Ⅱ部 女性作家の南洋体験
第三章 一九四〇年代の女性作家の作品からみる仏印像――「日仏協力」という〈帝国〉間の関係性を中心に
はじめに
1 仏印へ赴く女性作家の役割
2 「敵」か「友」か――「平和進駐」を境に
3 女性作家の描いた仏印
結びにかえて
第四章 「物見遊山」の視察行なのか――三宅艶子『比島日記』と川上喜久子『フィリピン回想』の比較を通して
1 フィリピンに徴用された作家
2 三宅艶子と川上喜久子の日記の特質
3 占領地の「女」としての特殊性
4 虚構されたフィリピンの「平和」
5 フィリピン要人との交流
結びにかえて
第五章 森三千代の仏印小説における二つの交遊――「安南」と「日本の花」を視座に
はじめに
1 「安南」における近代の明暗の狭間に生きる安南女性
2 「日本の花」――国家が描く理想的な「母」と背離する
結びにかえて
第Ⅲ部 女性作家の南洋記憶の再構成
第六章 「文明化」の暴力を剔抉する――森三千代の「豹」における改作をめぐって
はじめに
1 時代状況からみる【戦中版】と【戦後版】の位置づけ
2 【戦中版】と【戦後版】のテクストの改作
結びにかえて
第七章 「日本人女性」を模倣する被占領地女性と「西洋人」を模倣する占領地男性――小山いと子『火の女』をめぐって
はじめに
1 小山いと子の南洋体験
2 抵抗する女性から服従する女性へ
結びにかえて
第八章 南へ追われて 南でふれ合いを求めて――林芙美子の南洋小説を中心に
はじめに
1 林芙美子の南洋体験
2 南洋の記憶を語り直す<
内容説明
彼女たちは占領地で何を見、何を語ったのか。占領者の立場や個人のアイデンティティ、オリエンタリズムなどが複雑に交差するなか、作家たちの他者との関係性、そして、その眼差しのあり方を問う。2024年度KUNILABO人文学学位論文出版助成受賞作。
目次
第1部 「南進」する女性の表象と語り(帰郷と異郷の間で揺らぐ女性の主体性―森三千代「国違ひ」と「帰去来」を中心に;一九四〇年代における〈南進女性〉の言説の諸相―表象される〈南進女性〉と自己語りする〈南進女性〉を通して)
第2部 女性作家の南洋体験(一九四〇年代の女性作家の作品からみる仏印像―「日仏協会」という〈帝国〉間の関係性を中心に;「物見遊山」の視察行なのか―三宅艶子『比島日記』と川上喜久子『フィリピン回想』の比較を通して;森三千代の仏印小説における二つの交遊―「安南」と「日本の花」を視座に)
第3部 女性作家の南洋記憶の再構成(「文明化」の暴力を剔抉する―森三千代の「豹」における改作をめぐって;「日本人女性」を模倣する被占領地女性と「西洋人」を模倣する占領地男性―小山いと子『火の女』をめぐって;南へ追われて 南でふれ合いを求めて―林芙美子の南洋小説を中心に)
著者等紹介
張雅[チョウガ]
1991年、中国・海南島生まれ。名古屋大学大学院国際言語文化研究科多元文化論専攻博士課程修了。博士(文学)。現在、大阪大学国際機構特任助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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