内容説明
英語圏哲学界の泰斗が現代の美学をわかりやすく紹介。雄大な自然、悲しい交響曲、社会を変えた暴露小説、不道徳なバイオレンス映画、美しくないコンセプチュアルアート、周囲と調和しない前衛建築など、多岐にわたる実例を用いながら、13章にわたって最新の論争をあざやかに解説する。丁寧な文献紹介と用語解説、確認問題集を付した、最先端の入門書。
目次
第1部 美学(環境美学―自然の美;“美的なもの”について(美的経験;美的性質))
第2部 芸術哲学(芸術とは何か;芸術作品は、いかなる種類の対象なのか;解釈とそこに関わる意図の問題;再現(フィクション;描写)
音楽・詩における表現性
芸術的価値
価値と価値との相互作用―倫理的価値、美的価値、芸術的価値
建築の価値)
著者等紹介
ステッカー,ロバート[ステッカー,ロバート] [Stecker,Robert]
セントラル・ミシガン大、哲学科教授。シンガポール国立大、オークランド大(ニュージーランド)、嶺南大学(香港)でも客員教授として教鞭をとる
森功次[モリノリヒデ]
1981年、福岡県生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在は日本学術振興会特別研究員PD(山形大学)、文星芸術大学非常勤講師。専門は美学芸術学。美学会、現象学会、サルトル学会に所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとす
4
タイトルの通り、分析哲学の伝統を受け継いだ美学・芸術哲学の入門書。美学・芸術哲学と言えども、形而上学、認識論、言語哲学、倫理学など様々な分野との関連が見られる。美的価値とはどのようなものか?美的経験はいかにして可能なのか?フィクションに登場する人物について指示することはできるのか?倫理的価値と美的価値との関係とは?…などなど。芸術(と呼ばれるもの)について古い議論から最新の議論までをカバーした入門書である。2013/10/20
バーニング
3
読むのに難儀した箇所もあったが、それは論点の複雑さによるものであって筆者は可能なかぎり分かりやすく具体的な説明を尽くしている。この分野に明るくない自分としてはそうしたやり方はありがたかったし、優れた入門書とはそういうものだろうと感じた。章ごとにサマリーやクエスチョンがあったり脚註が詳細な点も読書をよく意識している。2013/12/17
パン
2
内容が濃すぎて実質辞書2023/05/18
hiroki asano
2
分析美学に関する議論とその流れを紹介。筆者が一応の結論を定めてはいるが、議論を紹介しているという本の性質上、必ずしも特定の考えが答えというようにはなっていない。 分析美学の観点から美や芸術を定義しようとしていくが、門外漢としては結局のところ定義がどんどん曖昧なものになっていく議論にも見え、語りきれないものを語ることの難しさを見た印象。2019/10/01
ざっきい
2
「芸術論の歴史」が1987年出版であるため、最新の動向が知れるかと思い読んだ本。本書は2010年出版。現在では「美的なもの」は不明瞭で、「芸術とは何か」については歴史的構造主義的観点からのアプローチが尤もであるという。言葉を使って言葉を分析しようという努力は凄いが、結局人間のカテゴリー化能力や驚異を感じる力がなんだかよくわからないが凄いということを確認しただけであった。個人的には針の上の天使みたいで、途中嫌気がさしてしまった。2017/01/26