ちょっと気になる医療と介護

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  • サイズ A5判/ページ数 320p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784326700943
  • NDC分類 498.13
  • Cコード C3047

出版社内容情報

システムの根本からわかりやすく教え、学ぶための入門書第二弾。改革の本丸、医療と介護。正しくデータを把握し論理的に考える為に。団塊世代が後期高齢者となる2025年以降、日本の医療介護ニーズの絶対量は高原状態となる。日本社会はそれまでに何をすべきか。医療と介護の正確な情報を踏まえ、医療介護の一体改革が必要である理由と、提供体制の改革こそが重要であること、改革の具体的な道筋を解説する。勘所をわかりやすく説く「ちょっと気になる」入門書第二弾。

はじめに

拙著文献表



第1章 働くことの意味とサービス経済の意味

 『国富論』における生産的労働と非生産的労働とは

 第1次,第2次産業における生産性の上昇とサービス産業の役割

 就業人口が増えている業種──医療福祉産業

 需要の担い手と生産性

 付加価値生産性と物的生産性

 対人サービスにおける生産性と第1次,第2次産業における生産性との関係



第2章 人口減少社会と経済政策の目標

 Output is centralという考え方と1人当たりGDP

 成熟社会における経済成長の姿を見るためには



第3章 今進められている医療介護の一体改革

 社会保障改革の本丸,医療介護の一体改革

 地域で治し,支える「地域完結型医療」へ



第4章 医療提供体制の改革とご当地医療

 目下進行中の政策のスピード感──2018年度は惑星直列?

 提供体制の改革が目指すもの

 あるべき医療介護の試算方法の進化

 データによる制御という理念の具現化

 都道府県単位への医療政策再編の動き



第5章 地域医療構想と地域包括ケアという車の両輪

 ご当地医療構築へ地域住民も積極的な参加を

 賽は投げられた,に込めた考え方



第6章 競争から協調へ

 社会保障制度改革国民会議におけるプレゼンテーション

 非営利ホールディングカンパニーから地域医療連携推進法人へ



第7章 医療・介護費用は誰がどのようにして賄っているのか?

 なぜ,この国では社会保険という制度に頼らざるを得ないのか

 少子高齢化と保険料──現役被保険者の間での財政調整額の算定方法

 産業構造の変化と財政調整



第8章 制度と歴史と政治

 韓国からみた日本

 組合主義とみんなで助け,支え合うという社会保障の理念の衝突



第9章 リスク構造調整の動きが国民健康保険にまでおよぶ2018年度

 なぜ,リスク構造調整というような言葉が世の中に存在するのか?

 リスク構造調整を組み込んだ画期的な国民健康保険制度改革

 リスク構造調整の展開を健保組合サイドからみれば



第10章 医療介護のマンパワー総数と偏在問題

 医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会

 医師養成をとりまく環境

 医療環境をとりまく社会性

 医療における専門職規範,そして公共政策とプロフェッショナル・フリーダム

 再び,医師総数について



第11章 高齢障害者向け介護保険と若年障害者向けの障害者福祉

 介護保険法第一条にみる介護保険とは

 介護保険と障害者福祉の関係



第12章 最近の介護保険改革の意味

 介護保険における居宅空間と「在宅医療等」という政策用語の意味

 なぜだか難しい,介護保険用語

 介護保険における傾斜生産方式的改革



第13章 福祉の普遍化の中での介護保険

 社会保障の歴史的展開

 措置制度

 福祉の普遍化と高齢者福祉と介護保険

 障害者福祉の普遍化と支援費制度

 障害者自立支援法と介護保険

 財源調達という難作業と介護保険の保険性

 年金と医療介護の類似性



第14章 租税財源は,どこに求めるべきなんでしょう──cool head but warm heartな財源調達論

 ゆたかな社会と付加価値税

 すべての税目を増税するプラスα増税の必要性

 累進課税の仕組みと日本の所得税の実情

 社会保障目的消費税の拡大はジニ係数を小さくして格差問題を緩和する



第15章 無い袖を振りつづけたらどんな未来がやってくるのか

 借金のストックと国債費という厄介な存在──ドーマー条件

 給付先行型福祉国家の宿命?

 奇跡の三党合意から増税はひとつの選択肢へ

 ドーマー条件と現実の金利と成長率



第16章 手にした学問が異なれば答えが変わる

 上げ潮派とかトリクルダウンとかの話

 手にした学問が異なれば政策解が変わる

 右側の経済学と左側の経済学

 経済政策思想の流れ



おわりに



(知識補給)

 診療報酬と介護報酬

 ガルブレイスの依存効果と社会的アンバランス

 「シュンペーター,イノベーション,成長戦略?」考

 QOLとQODについて

 医療費と経済のタイムラグ?

 国策としての健康増進で医療費が抑制できるのでしょうかね

 政治が変えた後期高齢者医療制度のかたち

 どうして,協会けんぽが総報酬割に反対するんだろうか?

 医療保険と保険者の政治

 2005年に「医療サービスの経済特性と保険者機能という幻想」と書いてしまっている?

 前期高齢者医療制度における年齢リスク調整の仕方

 医師偏在を解決する政策技術

 医師偏在と医学部進学熱の本質

 介護保険における「特定疾病」

 国の法律が違憲とされた10の最高裁判決

 と言っても,累進税の強化は必要だよっという話

 指標と政策概念の間にあるギャップ

 カッサンドラのような誰も信じない不吉な予言

 いま何が起こっていて,これから何が起こるのかを考えるのに知っておいた方がいいかもしれない小選挙区制と内閣人事局

 限界貯蓄性向って言われても,分からないよっという人に

 ノーベル経済学賞って? それと平和賞が生まれたステキな話



図表一覧

事項索引

人名索引

権丈 善一[ケンジョウ ヨシカズ]
権丈 善一(けんじょう よしかず)慶應義塾大学商学部教授. 博士(商学). 1962年福岡県生まれ. 1985年慶應義塾大学商学部卒業. 1990年同大学院商学研究科博士課程修了. 嘉悦女子短期大学専任講師, 慶應義塾大学商学部助手, 同助教授を経て, 2002年より現職. この間, 2005年ケンブリッジ大学ダウニグカレッジ訪問研究員, 1996年?1998年ケンブリッジ大学経済学部訪問研究員. 主要業績に, 『ちょっと気になる社会保障』(勁草書房, 2016年), 『医療介護の一体改革と財政――再分配政策の政治経済学?』(2015年), 『年金改革と積極的社会保障政策――再分配政策の政治経済学?[第2版]』(2009年 [初版2004年, 労働関係図書優秀賞]), 『再分配政策の政治経済学?――日本の社会保障と医療[第2版]』(2005年[初版2001年, 義塾賞])(以上, 慶應義塾大学出版会), 翻訳としてV. R. フュックス著 『保健医療政策の将来』(共訳, 勁草書房, 1995年)などがある.

内容説明

改革の本丸、医療と介護。団塊世代が後期高齢者となる2025年以降、日本の医療介護ニーズの絶対量は高原状態となる。日本社会はそれまでに何をすべきか。正しくデータを把握し、論理的に考える為に。「社会保障というシステム」の根本からわかりやすく学び、教えるための入門書。

目次

働くことの意味とサービス経済の意味
人口減少社会と経済政策の目標
今進められている医療介護の一体改革
医療提供体制の改革とご当地医療
地域医療構想と地域包括ケアという車の両輪
競争から協調へ
医療・介護費用は誰がどのようにして賄っているのか?
制度と歴史と政治
リスク構造調整の動きが国民健康保険にまでおよぶ2018年度
医療介護のマンパワー総数と偏在問題
高齢障害者向け介護保険と若年障害者向けの障害者福祉
最近の介護保険改革の意味
福祉の普遍化の中での介護保険
租税財源は、どこに求めるべきなんでしょう―cool head but warm heartな財源調達論
無い袖を振りつづけたらどんな未来がやってくるのか…
手にした学問が異なれば答えが変わる

著者等紹介

権丈善一[ケンジョウヨシカズ]
慶應義塾大学商学部教授。博士(商学)。1962年福岡県生まれ。1985年慶應義塾大学商学部卒業、1990年同大学院商学研究科博士課程修了。嘉悦女子短期大学専任講師、慶應義塾大学商学部助手、同助教授を経て、2002年より現職。この間、2005年ケンブリッジ大学ダウニグカレッジ訪問研究員、1996年~1998年ケンブリッジ大学経済学部訪問研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えちぜんや よーた

88
医学部生、医学部進学を目指す高校生、それをサポートする親や学校関係者も読んでおいた方が良い。なぜなら近い将来、医師が「食えない職業」になるかもしれないからだ。医師の需給が中位で推移した場合、2025年で需給が一致して2040年には3.4万人もの医師が供給過剰となるからだ(P129の資料)。ちなみに「東京大学政策ビジョン研究センター」のやまもといちろうさんも同様のことを述べておられる。https://goo.gl/a7eMBH 「医者になったら将来は安泰」志向で医師になることは、かなりヤバい気がした。2017/04/12

脳疣沼

3
日本の医療・介護がどういった方向に向かっているのかが分かる。そしてポピュリズムなどにより、政策が思うように進まないことも分かる。なぜ日本では税ではなく社会保険に頼らざるを得ないのかとか、政治、社会的な難しさなどを考慮した政策作りについて頭が下がる。しかしそれゆえに、現実を無視した理論家に批判されて、それにつられて大衆がバッシングを始めるわけだが。しかしでは、エリートさんに任して、無知な国民は黙っていればいいのかという話にもなり、なかなか難しい。姉妹本の『ちょっと気になる社会保障』よりも読み応えがある。2017/06/12

すのす

2
たまには業務関連を読む。前著「ちょっと気になる社会保障」と同じく、制度論の観点からの記述。国民会議の委員だったので、国民会議での議論の引用や、それを含む自著からの引用も多い。知識補給も合わせて読むと、例えば利害関係者の考え方の一端など小ネタもわかる。今回は、前回より経済学で読み解きます的な記載が増えているのが特色。現場と制度の乖離についてはまた別の書籍に当たるべきだけど、制度自体を語る時には、この辺を読んだ上で、妄想で議論しないようにしましょう、というやつです。2017/02/05

telephone

1
難しくて理解できないところもあったが、日本では、税よりも社会保険の方が財源としての安定性があること等、うなずける点も多かった。次こそは消費税あがるのかな。2017/07/11

k.f

1
''航空母艦''の方をしっかり読んでしまっているのでより分かりやすいと実感。財源調達問題を国民一人ひとりが意識していくしかないのだろうなあー。でもメディアが騒ぐほど増税に反対していないのでは?という気持ちもある。2017/02/15

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