出版社内容情報
「ジェンダー」という「精緻な仕掛け」を解明する。ジェンダーと性支配を同時に生み出すメカニズムを捉えたフェミニズムの名著再び!
「ジェンダーは、それ自体権力を内包している」。ジェンダー秩序とは〈男らしさ〉〈女らしさ〉という意味でのジェンダーと、男女間の権力関係である性支配を同時に産出する社会的パターンである。社会の領域を貫き、両性の非対称的な社会的実践を生み出し維持するメカニズムを解き明かす。新たに新装版のための序文と本文補注を収録。
内容説明
私たちの日常に埋め込まれたなにげないやりとりが支配関係を生み出す―「ジェンダー規範にとらわれない」だけでは解けない、性支配を構成する社会的実践の規則性を明らかにする。現実の問題をより深く理解し、分析力をそなえるために。「ジェンダー」という「精緻な仕掛け」。
目次
1 基本的枠組みの検討(予備的考察―ジェンダー/心/権力;ジェンダーの社会的構築;構造と実践)
2 ジェンダー秩序とジェンダー体制(ジェンダー秩序;ジェンダー体制;“諸制度”“儀式”“メディア”“社会的活動”)
3 ジェンダーの再生産と変動(ジェンダー知の産出と流通;ジェンダーと性支配;再生産・変動・フェミニズム)
著者等紹介
江原由美子[エハラユミコ]
1952年神奈川県に生まれる。1979年東京大学大学院社会学研究科博士課程中退。現在、東京都立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Olive
10
ジェンダーと性支配の関わりがよく分かる.特にコンネルの理論から性役割分担に至るメカニズムを明確に示す.性役割分担を単に役割分担としてではなく,「女」という性と「家事・育児・人の世話をする」ことが,=(イコール)で結ばれたパターンだとする.「家事・育児・人の世話をする」ことは「他者の欲求を満たす手助けをすること」という他者を焦点にした位置づけがある.手助けには「気配り」が必要だ.これが世話をすることの本質であるという.「女=他者の活動を下支えし助ける」としたとき,それでは女は何を下支えするのか⇒2023/10/26
ア
5
前半は理論面の話が多く読むのに苦労したが、中盤以降は具体的な話が増え、読みやすくなってくる(前半も、難しいが、とても勉強になりおもしろい)。末尾の、現在の若い世代の「フェミニズム嫌い」の問題は、本当に難しいなと感じていたが、これについてある程度この本が言語化してくれ、少しクリアに見えるようになった。いやはや、江原由美子はすごい。2023/01/15
right27
2
循環論であえて論じてられていることとその理由について書かれた第三部が個人的に参考になった。2022/12/30