出版社内容情報
被差別部落出身者との恋愛や結婚を、出自を理由に反対する「結婚差別」。部落出身者との結婚をめぐる家族間の対立、交渉、破局、和解などのプロセスを、膨大な聞き取りデータの分析から明らかに。同時に、結婚差別の相談・支援活動の事例から「乗り越え方」のヒントを探る。部落差別の根本問題を徹底的に調査研究した画期的な成果。
内容説明
被差別部落出身者との恋愛や結婚を、出自を理由に反対する「結婚差別」。部落出身者との結婚をめぐる家族間の対立、交渉、破局、和解などのプロセスと差別の実態を、膨大な聞き取りデータの分析から明らかにする。同時に、結婚差別の相談・支援活動の事例から「乗り越え方」のヒントを探る。
目次
第1章 部落問題とは何か
第2章 結婚差別はどのように分析されてきたか
第3章 結婚差別のプロセス
第4章 うちあけ
第5章 親の反対
第6章 カップルによる親の説得
第7章 親による条件付与
第8章 結婚差別問題では何が争われているのか
第9章 結婚後差別
第10章 支援
著者等紹介
齋藤直子[サイトウナオコ]
1973年生まれ。大阪市立大学人権問題研究センター特任准教授。2006年、奈良女子大学大学院人間文化研究科単位取得退学。博士(学術)。専門は部落問題研究、家族社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
73
親による結婚の反対原因のうち相手が部落出身者だからという理由で反対される結婚差別が本書のテーマである。その中でも様々なパターンの例を用いて検証している。読んでいて目を背けたくなるものもある。2017/08/22
二人娘の父
13
かなりの衝撃である。1972年川崎で生まれた自分にとって、正直、部落差別の問題は身近ではない。その認識は現在でもほぼ変わっていない。ただ様々なニュースや読書を通じて「部落差別は現在も続いている」という認知はあったが、正直ここまでの実態であることは驚きである。本著は著者の研究論文が基になっているとのことだが、きわめて読みやすく分かりやすい。特に差別の構造と現れ方、その影響について学ぶことができる。おそらく関東近県にも部落差別はあるのだろう。それは見えない・見せない形と取るだけに問題は深刻であると考えられる。2025/04/16
kyoko
12
同和問題による結婚差別は重層的で単純化できるものではない。結婚は両性の合意のみに基づくものではある。しかし、親や親せきが絡み合うことによって起こる、あるいは起こると予測することによって噴出する問題、結婚後起こってくる差別など、さまざまな事例があげられている。多くの事例から問題点を明らかにし、論点と考え方の軸を明確にしてこの問題を解きほぐしていく著者の分析力は素晴らしく、括目の書であった。人権を学ぶ上では必読の書である。2018/11/07
いとう・しんご singoito2
10
読友さんきっかけ。聞き取り調査を中心とした論考だが、聞き取り対象がほぼほぼ運動体関係者という点がまず気になり、ついでなんでここまで親が子供の結婚に口出しするのか、子供が親の祝福を重視するのか、兄弟やいとこの縁談に悪影響があるという議論が生まれるのか、もやもや。地縁血縁関係に個人の尊厳と自由を超える価値を置くからダメなんじゃないの?「祝福を(略)臨むべきでないと言い切ることが出来るだろうか」P187という著者の言葉は問題の核心を隠蔽してしまう。最後になって、問題は結婚したいなら結婚すればいいんだ、→2024/01/20
てくてく
10
戦後憲法が婚姻は両性の合意によることを明記して数十年が経過した現代においても、被差別部落出身者という理由で交際が反対されることもある。それでは、被差別部落とは何か、交際を反対する理由は何か、どのような言い訳が用いられるのか、家族の反対に遭遇した当事者の対応はどのようなものがあるか、といったことをインタビューすることによって事例を集め、分析した一冊。興味深かった。2018/11/21