出版社内容情報
財政難に喘ぐ日本社会への具体的な教育社会学的提言。民主主義社会の基礎となる公教育システムを支える財政的基盤を構築するために。
内容説明
財政難にあえぐ日本社会への具体的な教育社会学的提言。民主主義社会の基礎となる公教育システムを支える財政的基盤を構築するために。
目次
少なすぎる公教育費
第1部 教育費をめぐる人々の意識と政策の現状(教育の社会的役割再考;国家・政府と教育;教育と社会保障・福祉との関係性;国際比較から見た日本の教育・社会政策への意識構造)
第2部 教育の公的負担が増加しなかったのはなぜか(日本の財政と教育;教育費高騰の戦後史;教育費をめぐる争点;政策の実現と政党に対するスタンス;教育を公的に支える責任)
著者等紹介
中澤渉[ナカザワワタル]
1973年埼玉県生まれ。2003年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。現在、大阪大学大学院人間科学研究科准教授・博士(教育学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
25
豊かな社会が実現、教育機会平等化の影で、不平等、格差、貧困問題が見過ごされやすい(8頁)。教育システムの 官僚制化(88頁~)には英国の事例がある。各国の主成分分析や帯グラフなどのデータを挙げながら詳述するのは 説得力がある。官に対する厳しい眼差し(313頁~)。日本の官僚制はバブル前は肯定的、弾けてからは否定的 (320頁~)。R.K.マートンの官僚制の逆機能も紹介されている。本来的なものとは逆行する矛盾(323頁)。 2015/03/10
アナクマ
8
「学校教育が一体何の役に立ったのかわからない」「教育費は家庭・会社でめんどう見(られ)ます」だったら、公的負担は低いまま。国際比較研究で援用されるという「アンデルセンの福祉レジーム」が勉強になりました(労働力の脱商品化をキーに先進諸国を大別して分析を加える)。教育費を誰が負担するべきかについては、社会保障・福祉との関係性と、さらには、こんな日本にしたいという民意に結局のところ行き着く。トレードオフの財政のなか、それでも社会を支えているのは人で、公的負担が是とされる社会にはどうしたら?2017/01/15
まるさ
6
公教育負担のOECDの比較における少なさを定量的に指摘した本。教育財政や経済学、計量分析を学んだ学部生向けの本であり一般向けとは言い難い。 教育関係の本は著者の感傷的な意見を開陳することに偏りやすい中で本書は実証分析を基礎において論じているという意味で、 間違いなく良書なので日本の政党政治や定量分析にについてある程度割愛した上で200頁前後の新書にし直して出版してほしい。2017/04/20
りょうみや
4
近代以降の先進諸国の教育、税システム、社会保障などの国際比較をかなり詳しくしたうえで日本の公教育費についても考察している。意外だったけど、日本はこれでも他国と比べて税負担は高くない。そして、政治家だけでなく国民の教育費への関心はこれまで(他の社会福祉と比べて相対的に)高くなかった。著者は日本のそもそもの根本的問題として、日本人の気質、システム的に大きな改革をしづらい硬直した民主主義の仕組みそのものを挙げている。2016/03/01
安藤 未空
3
教育に関する話というよりは、政治に関する話を扱った本という印象だった。また、教育の公的役割は問い直されておらず、公教育費を増やすためには教育の公的意義を説明して国民の理解を得ていくことが重要だという趣旨だった。 あとがきにもあったが、本書の内容は著者の研究のメインではないということで…「まぁ、そうだろうな」と納得してしまった。読むのが大変な割に得るものが少なかったというのが正直な感想。本書における著者の指摘自体が的外れだとは思わない。政治に関する著者の主張も興味深かっただけに全体的に残念だった。2025/12/09




