出版社内容情報
アンチピルの傾向はなぜ生じたのか。行政、医学界、家族計画運動、女性運動に焦点をあて、生殖をめぐるポリティクスを歴史的に読みとく。
日本でピルが認可されたのは主要先進国に約30年遅れて1999年。ピル規制の背景については、産婦人科医の利益を守るとか、政府が少子化の進行を懸念したという憶測も強い。本書はこうした俗説を斥け、人々の身体観・生殖観・ジェンダー観が反映されたものと見て、その複雑なからみあいを明らかにする。
第一章 ピルはなぜ認められてこなかったのか
1 問題の所在
2 ピル規制をめぐる研究史
3 研究の視点と仮説
第二章 ピルをめぐる歴史
1 1950年代後半から1960年代
2 1970年代から1980年代前半
3 1980年代後半から1990年代
第三章 産婦人科医と家族計画関係者
1 優生保護法の成立・改正と家族計画運動
2 家族計画関係者の収入獲得状況とピル認可に対する牽制
3 産婦人科医の人工中絶による利益とピル
第四章 「家族計画」運動をめぐるイデオロギーとピル
1 家族計画関係者のピル認可中止要求
2 家族計画関係者のピル推進への転換
第五章 ピルをめぐるジェンダー・ポリティクス
1 ピルは女を解放するか
2 ピルは<自然>に反するか
終章 アンチ・ピルの背景
注
あとがき
参考文献
索引
内容説明
なぜピルはこれほど長く日本で認可されなかったのだろうか。そして、なぜ日本では依然としてピルに対する需要が拡大しないのか。本書は、日本の行政や一般国民にみられるいわば「アンチ・ピル」とでも呼びうる傾向の背景を、歴史的、かつ多面的な視点から読みとく試みである。
目次
第1章 ピルはなぜ認められてこなかったのか
第2章 ピルをめぐる歴史
第3章 産婦人科医と家族計画関係者―ピルをめぐる利益構造
第4章 「家族計画」運動をめぐるイデオロギーとピル
第5章 ピルをめぐるジェンダー・ポリティクス
終章 アンチ・ピルの背景
著者等紹介
松本彩子[マツモトアヤコ]
1981年東京都に生まれる。2003年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。2005年お茶の水女子大学大学院人間文化研究科発達社会科学専攻、開発・ジェンダー論コース修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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