出版社内容情報
古代から近代まで、伝承と現実の間で種々の魔女像が生まれたが、本書では裁判記録を播き、近世(15 ~17世紀)の魔女裁判の犠牲となった8万の女性の真の姿に迫る。呪術が支配する時代、どこにでもいる女性たちが、隣人・共同体との財をめぐる争い、日常の幸・不幸の出来事を通して魔女に仕立てられていく。キリスト教会は呪術を禁じたが、民衆は良い魔術(賢女)と悪い魔術(魔女)を区別しつつ用いた。一方、教会は、女性は弱く、悪魔に誘惑され契約を結ぶ罪深い存在として、絵、本などで広めた。民衆と聖職者の魔女イメージが合体し一つの像を結んだ、いまわしい歴史の相が明らかになる。
小社刊 野口芳子 『グリム童話と魔女──魔女裁判とジェンダーの視点から』 に引用紹介
Ⅰ 序
Ⅱ 魔女裁判の歴史
Ⅲ 魔女像と女性像──幻想と現実──
1 害悪をもたらす魔女
牛乳泥棒の魔女とバター魔女
天候魔女
病気や死を呼ぶ魔女
子どもを食べる魔女
男性性器泥棒と売春斡旋人の魔女
2 悪魔の淫婦
女魔術師と霊
魔女と悪魔
女と情夫
3 賢女
女治癒師
女予言者
4 悪女
Ⅳ 女が魔女になる
1 共同体における魔女認定の規則と儀式
魔女祓い
魔女のお喋り
神判
使者の派遣と証人との対決
2 嫌疑から告発へ
3 マルガレーテ・ミュラーの裁判
訳者あとがき
引用文献・参考文献
索引
図版一覧
著訳者紹介
内容説明
呪術に支配された村社会の魔女像と、学識法曹の抱く魔女像が合体して、魔女は作り出された。そのメカニズムを解明する。
目次
1 序
2 魔女裁判の歴史
3 魔女像と女性像―幻想と現実(害悪をもたらす魔女;悪魔の淫婦;賢女;悪女)
4 女が魔女になる(共同体における魔女認定の規則と儀式;嫌疑から告発へ;マルガレーテ・ミュラーの裁判)
著者等紹介
アーレント=シュルテ,イングリット[アーレントシュルテ,イングリット][Ahrendt‐Schulte,Ingrid]
1942年生まれ。歴史学博士。著述家。女性の社会史および魔術や呪術に関する著述多数。ギムナジウム(中・高等学校)教諭を経て、1996年カッセル大学大学院にて博士号取得。カッセル大学非常勤講師を経て、現在は国及び諸団体の委託研究員として各地で講演を行い、執筆活動に携わっている。ケルン在住
野口芳子[ノグチヨシコ]
1949年大阪府生まれ(旧姓:柊木)。1974年関西学院大学大学院修士課程修了。1977年ドイツ・マールブルク大学大学院にてPh.D.取得。現在、武庫川女子大学文学部教授
小山真理子[コヤママリコ]
1950年兵庫県生まれ(旧姓:堀尾)。1975年大阪大学大学院修士課程修了。現在、関西学院大学文学部非常勤講師
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感想・レビュー
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