出版社内容情報
聖書や古代ギリシャの時代から戦争に至るまで、歴史を縦断してレイブという犯罪を徹底的に分析、レイブにまつわるあらゆる神話を突き崩した記念碑的労作。「レイプとは性欲に駆られた男が犯す性的犯罪行為ではなく、女性を抑圧するために男が用いる最大の武器であり、力と暴力の犯罪である」ことを喝破した本書は、ベティ・フリーダン、ケイト・ミレットらの著書と並び称されるフェミニズム文献の古典となっている。コソボやインドネシアなど、あいかわらず紛争のあるところ必ず繰り返される組識的レイプを考えるとき、本書の視点は時を経て今なお衝
内容説明
レイプは、単なる性的犯罪ではない。女性を支配するための卑劣な威嚇である。家庭で、組織で、紛争地域で、なぜレイプは存在し続けるのか?古代から現代まで、繰り返される歴史を徹底的に分析し、これまで造られてきたあらゆるレイプ観をくつがえしたフェミニズムの原典。
目次
1 レイプの集団心理学―序にかえて
2 はじめに法ありき
3 戦争とレイプ
4 権力―制度と権威
5 強姦者=英雄という神話
6 レイプの被害者たち
7 女たちの反撃
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
viola
4
文学作品においてレイプというのはよく出てくる上に、史実においてもルクレツィア、ザビニ女など歴史の転換期を迎えるきっかけにもなるレイプ。求めていたものとは全く違い、かなり現在よりのレイプで、論文には使えなさそうではありますが、読んでいたほうがいいことは確か。史実だけを追うのではなく、寓話やジェンダーにも触れていました。あまりにも過酷な現状に、読んでいて暗い気持ちになり、気が滅入ってくるけれど、得るものは大きいのです。2013/01/24
鏡裕之
3
フェミニズムばりばりの一冊。全編、男=悪と断罪する論調で占められている。そして予想通り、ポルノ=悪という論が展開されている。ポルノが完全に排斥された世界がどうなるのかの想像力はないらしい。2017/02/15
saiikitogohu
1
「ベトナム戦争…五人の兵士の中でただ一人、スヴェン・エリクソン上等兵だけはレイプと殺害に加わらなかった。ラングの描写によると、マオに対して振るわれた執拗なまでに残虐な行為は、男らしさの序列を決めるための争いのようだった。エリクソンは自分の番がきてもレイプすることを拒んだため、パトロール隊の指揮官トニー・メザーブ軍曹から「ホモ」「腰抜け」などと嘲られた。拒まなかったマニュアル・ディアスはのちに、皆に同調したのは笑いものにされたくなかったからだと検察官に申し立てている」1332019/10/24
はるさむ
0
"セックスの強制には金銭の絡むものや心理的なものをはじめ、多様な形があり、被害者は恐怖心から抵抗しにくい状況にあるうえ、事後に訴えてもまずその内容を信じてもらえない。" "権威をもつ者による強姦は、権威を尊敬するように教えられてきた被害者を当惑させ、自分も共犯者出はないかと思わせてしまう。" "権威をもつ者には正義のイメージがつきまとうのだから、その行為の正当性を疑うのは容易ではない。となれば、被害を受けた自分のほうが「悪かった」と思う以外になくなってしまうのだ"2016/08/02