出版社内容情報
「子ども」でも「少年」でもない「少女」は近代に生み出された。「少女」創出期から敗戦までの日本における「少女」イメージの変遷を、少女雑誌を題材に分析する。
「少女」とは都市新中間層の女子であった。学校教育制度が「少女時代」という時間を創出し、少女雑誌がそれにイメージを与えた。「少女」という表象の歴史的変遷を、少女雑誌の内容構成と読者の受容過程から考察し、「少女」の社会的機能を解明する。従来一枚岩に捉えられていた「子ども」に、ジェンダー要素が付加される過程を描く。
序 章 「少女」と都市新中間層
1 少女研究の課題
2 都市新中間層の女子
3 少女雑誌
Ⅰ 「少女」の誕生とその変遷
第1章 「少女」の誕生――少女雑誌以前
1 子ども雑誌『穎才新誌』
2 「少年」の意味するもの
3 ジェンダーの変容
4 少年・少女
5 少年少女雑誌の登場
6 メリトクラシーとジェンダー
第2章 「少女」の身体の変遷
1 ヴィジュアル・イメージ
2 母親に守護される少女・勉強とスポーツをする少年
3 幼女ではない少女・勉強とスポーツをする少年
4 スポーツをする少女・軍国少年
5 軍国少女・軍国少年
6 「少女」のヴィジュアル・イメージ
第3章 近代家族と「少女」
1 家族と少女
2 親には絶対服従
3 近代家族的な情愛に裏打ちされた孝
4 孝から近代家族的な情愛へ
5 近代家族的な情愛の下で立身出世する
6 「国家」と忠の選択
7 子どもと「少女」
第4章 「少女」の成功
1 女性の成功とはなにか
2 属性主義の排除
3 成功の条件
4 実現困難という装置
5 スターの排除
6 「成功」の異なる意味合い
Ⅱ 「少女」の受容
第5章 少女ネットワーク
1 少女ネットワークの形成
2 ネットワークの機能
3 核としての清純主義・芸術主義
4 成員の証としてのペンネーム
5 「少女」バッシング
6 コミュニティの解体
7 清純主義・芸術主義
第6章 エスという親密な関係
1 エスと文字世界
2 『少女の友』における友情小説の流行
3 『少女画報』の「薔薇のたより」
4 エスとはなにか
5 対抗文化としてのエス
6 「薔薇のたより」における裏切り
7 エスと少女ネットワーク
終章 「子ども」のジェンダー
参考文献・資料・図版
分析雑誌一覧
あとがき
人名索引
事項索引
初出一覧
内容説明
少年少女雑誌の分析を通じて、近代日本における「少女」という表象の成立とその受容過程を解明する。
目次
「少女」と都市新中間層
1 「少女」の誕生とその変遷(「少女」の誕生―少女雑誌以前;「少女」の身体の変遷;近代家族と「少女」;「少女」の成功)
2 「少女」の受容(少女ネットワーク;エスという親密な関係;「子ども」のジェンダー)
著者等紹介
今田絵里香[イマダエリカ]
1975年京都府生まれ。2004年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。京都大学博士(人間・環境学)。現在、日本学術振興会特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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