双書ジェンダー分析
「少女」の社会史

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  • サイズ A5判/ページ数 256p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326648788
  • NDC分類 367.6
  • Cコード C3336

出版社内容情報

「子ども」でも「少年」でもない「少女」は近代に生み出された。「少女」創出期から敗戦までの日本における「少女」イメージの変遷を、少女雑誌を題材に分析する。

「少女」とは都市新中間層の女子であった。学校教育制度が「少女時代」という時間を創出し、少女雑誌がそれにイメージを与えた。「少女」という表象の歴史的変遷を、少女雑誌の内容構成と読者の受容過程から考察し、「少女」の社会的機能を解明する。従来一枚岩に捉えられていた「子ども」に、ジェンダー要素が付加される過程を描く。


序 章 「少女」と都市新中間層

1 少女研究の課題
2 都市新中間層の女子
3 少女雑誌

Ⅰ 「少女」の誕生とその変遷

第1章 「少女」の誕生――少女雑誌以前
1 子ども雑誌『穎才新誌』
2 「少年」の意味するもの
3 ジェンダーの変容
4 少年・少女
5 少年少女雑誌の登場
6 メリトクラシーとジェンダー

第2章 「少女」の身体の変遷
1 ヴィジュアル・イメージ
2 母親に守護される少女・勉強とスポーツをする少年
3 幼女ではない少女・勉強とスポーツをする少年
4 スポーツをする少女・軍国少年
5 軍国少女・軍国少年
6 「少女」のヴィジュアル・イメージ

第3章 近代家族と「少女」
1 家族と少女
2 親には絶対服従
3 近代家族的な情愛に裏打ちされた孝
4 孝から近代家族的な情愛へ
5 近代家族的な情愛の下で立身出世する
6 「国家」と忠の選択
7 子どもと「少女」

第4章 「少女」の成功
 1 女性の成功とはなにか
 2 属性主義の排除
 3 成功の条件
 4 実現困難という装置
 5 スターの排除
 6 「成功」の異なる意味合い

Ⅱ 「少女」の受容

第5章 少女ネットワーク
 1 少女ネットワークの形成
 2 ネットワークの機能
 3 核としての清純主義・芸術主義
 4 成員の証としてのペンネーム
 5 「少女」バッシング
 6 コミュニティの解体
 7 清純主義・芸術主義

第6章 エスという親密な関係
 1 エスと文字世界
 2 『少女の友』における友情小説の流行
 3 『少女画報』の「薔薇のたより」
 4 エスとはなにか
 5 対抗文化としてのエス
 6 「薔薇のたより」における裏切り
 7 エスと少女ネットワーク

終章 「子ども」のジェンダー

参考文献・資料・図版
分析雑誌一覧
あとがき
人名索引
事項索引
初出一覧

内容説明

少年少女雑誌の分析を通じて、近代日本における「少女」という表象の成立とその受容過程を解明する。

目次

「少女」と都市新中間層
1 「少女」の誕生とその変遷(「少女」の誕生―少女雑誌以前;「少女」の身体の変遷;近代家族と「少女」;「少女」の成功)
2 「少女」の受容(少女ネットワーク;エスという親密な関係;「子ども」のジェンダー)

著者等紹介

今田絵里香[イマダエリカ]
1975年京都府生まれ。2004年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。京都大学博士(人間・環境学)。現在、日本学術振興会特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

シルク

14
大層面白かった。学生時代に、この本持ってて、読んでいたけど、あの頃はこの本の一割も理解出来ていなかったんだなと思った。その面白さも、一割も分かっていなかったのだ。…戦前の少女雑誌を分析して、「少女達に示されていた成功イメージは、どの時期においても、『良妻賢母』が最多になることは、実はなかった」「少女達にせっせと示された成功イメージは、声楽家だとかピアニストだとか女流画家、女流歌人、女流作家、それに宝塚歌劇団の少女スターといった、芸術家であった」…って指摘は、「ああ! そーか!」と、鳥肌が立った。→2022/02/03

梟をめぐる読書

9
文学やサブカルチャーなどを通して、私たちが日々何気なく語ったり憧れたりしている「少女」という概念も、じつは近代以降(1890-)に初めて生まれたものでしかなかった。なぜその時代になって「少女」が現れたのかといえば、おもな理由として「高等女学校の制度化(〈少女期〉の誕生)」と「少女雑誌の登場(読者投稿による少女ネットワークの形成)」が挙げられるが、ここでの著者はとくに後者の文化に注目。戦前まで「少女」たちの間で絶大な支持を得ていた『少女の友』の分析をもとに、丹念に時代ごとの「少女」イメージを読み解いていく。2012/08/30

りぃ

5
新しい生活スタイル(新中間層の生活)は海外から輸入されたものだが、「少女」についてもそうなのか? 当時、日本以外でも子ども向け雑誌があったことは知っているが、あまり深く調べたことがないので調べてみたいと思った。各国で教育がどのように行われていたかについても。 また、戦後についての研究は今後の課題、ということだが非常に気になる。(たぶん戦後もいくつかの時代に分けることができる。コバルト文庫の最盛期の頃と今は大分違うのでは)2022/09/24

take0

5
2007年刊。近代日本における「少女」というカテゴリーの成立と変容を、明治期から昭和戦時中までの雑誌、特に『少女の友』を分析対象に用いてジェンダー論の視座から論じている。少々学術論文的で文章が堅苦しく、面白味に欠ける。また、明確化しようとするあまり、読んでいて少々強引に感じられる所があった。戦時体制下の『少女の友』の投稿欄の分析を通し、時勢の圧力によって<少女>に与えられた意味性が総力戦に迎合するよう変容させられ、それを読者である少女達が受容していったかについては知らない部分だったので、興味深く読んだ。2018/11/03

なめこ

2
「少女」という概念がどのように形成され、また、それはどのように受容されたのか。明治~戦前の「少女雑誌」(あるいは「少年」から「少女」が分化される前の子ども向け雑誌)、それについて論じた先行研究がたくさん取り上げられていて、すでに知っていたことの整理にもなるし、新たな発見や驚きもあるし、とても良い本だった。各章の末尾に、その章のまとめがついているので、こういう本を読み慣れていない人でも、議論を追いやすいとおもう。2017/06/20

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