出版社内容情報
総中流社会から格差社会に変わって、人びとの意識やアイデンティティはどのように変わったのだろう。意識のうえに現れる格差を問う!社会調査データを用いて格差を分析する時、地位達成の困難さ、雇用の不安定さ、低収入、そしてその連鎖など、格差の現実を明らかにすることが試みられてきた。しかし実際は、目に見える形の格差だけが問題なのではない。格差は人びとの意識やアイデンティティにも影響を及ぼしている。本書はそうした見え難い問題の解明に挑戦する。
はしがき[数土直紀]
第I部 階層意識とライフスタイル
第1章 「社会の形」から考える格差社会──階層イメージを手がかりに[神林博史]
1 「社会の形」から社会を考える
2 階層イメージ
3 データ
4 分析
5 階層イメージからみた格差社会
第2章 働き方と幸福感の連関構造
1 働き方の格差と幸福[橋爪裕人]
2 非正規は不幸になったのか
3 正規はなぜ満足化したか
4 正規という働き方は自分が手に入れた地位になった
第3章 若者の地位アイデンティティ──現在志向と宗教性の効果に注目して[狭間諒多朗]
1 注目される若者の意識
2 下流化する若者の地位アイデンティティ
3 変化する社会への意識の適応
4 現在志向と宗教性が地位アイデンティティに与える影響
5 学歴別の分析
6 現在の壮中年層,過去の若者との比較
7 地位アイデンティティからみる若者の格差
第4章 人びとのつながりと自由──地域に埋め込まれたサポート関係がもたらす「資源」と「しがらみ」[内藤 準]
1 問題の所在
2 方法と仮説
3 データと変数
4 結果
5 結論
第II部 地位アイデンティティ
第5章 働き方と地位アイデンティティ──正規への移動障壁が非正規の地位アイデンティティを低めるのか?[小林大祐]
1 はじめに
2 先行研究と仮説
3 データ,変数,分析モデル
4 分析
5 結果と議論
第6章 移動経験からみた現代日本の階層意識の構造[金澤悠介]
1 総中流社会から格差社会へ?
2 先行研究
3 使用する変数と操作化
4 分析結果
5 移動経験からみた階層意識の構造
第7章 時代・世代でみえる地位アイデンティティの移り変わり──多母集団潜在クラス分析による検討[谷岡 謙]
1 変わる日本社会と地位アイデンティティ
2 潜在構造からみる日本社会と地位アイデンティティ
3 社会構造と地位アイデンティティの関わり方
第8章 格差社会のなかの自己イメージ[数土直紀]
1 いま自分は社会のどこにいるのか──地位としての学歴
2 希少性は失われても,重要性は増す
3 格差が自己イメージにあらわれる時
4 学歴はいつまで地位であり続けるのか
終 章 何が変わり,何が変わらないのか[数土直紀]
1 格差社会と総中流社会
2 社会変動のなかの自己イメージ
文 献
あとがき[数土直紀]
索 引
数土 直紀[スド ナオキ]
編集
内容説明
総中流社会から格差社会に変わって、人びとの意識やアイデンティティはどのように変わったのだろうか。意識のうえにあらわれる格差を問う!総中流社会から格差社会への変化を象徴的にあらわしているものとして特に階層帰属意識に焦点をあてつつ、格差社会の下での人びとの階層意識を明らかにしている。
目次
第1部 階層意識とライフスタイル(「社会の形」から考える格差社会―階層イメージを手がかりに;働き方と幸福感の連関構造;若者の地位アイデンティティ―現在志向と宗教性の効果に注目して;人びとのつながりと自由―地域に埋め込まれたサポート関係がもたらす「資源」と「しがらみ」)
第2部 地位アイデンティティ(働き方と地位アイデンティティ―正規への移動障壁が非正規の地位アイデンティティを低めるのか?;移動経験からみた現代日本の階層意識の構造;時代・世代でみえる地位アイデンティティの移り変わり―多母集団潜在クラス分析による検討;格差社会のなかの自己イメージ)
何が変わり、何が変わらないのか
著者等紹介
数土直紀[スドナオキ]
1965年生。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。学習院大学法学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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