ナショナリズムとマスメディア―連帯と排除の相克

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ナショナリズムとマスメディア―連帯と排除の相克

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  • サイズ A5判/ページ数 360p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326602940
  • NDC分類 311.3
  • Cコード C3036

出版社内容情報

マスメディアは国民的連帯に寄与しうるのか、しないのか。新たな連帯の構想にマスメディアが果たすべき役割とは。生活保護バッシングにみられるように「同じ国民だから」という理由によって互いを支え合う国民的連帯は危機に瀕している。一方で、近隣諸国との緊張悪化や排外主義運動の広がりなど、ナショナリズムの高揚も見られる。ナショナリズムとマスメディアはこれまでどのような役割を担ってきたのか、これからどのような役割を担うべきなのか。

序章 「彼ら」のナショナリズムから「われわれ」のナショナリズムへ

 1 ナショナリズムと愛国主義

 2 ナショナリズム批判はいかなる立場にあるのか

 3 ナショナリズムとマスメディアという問題

 4 本書の構成

 5 「国民共同体」という概念



第1章 近代化論における「革命なきナショナリズム」の肯定──コミュニケーション発展論とその「政治的なもの」の欠落について

 1 開発途上国の近代化とナショナリズム

 2 近代化論における「政治的なもの」の放逐

 3 コミュニケーション発展論と豊かさへの期待

 4 近代化論の凋落と新たな分析の視座

 5 コミュニケーション発展論の遺産



第2章 社会的コミュニケーション論におけるナショナリズム観──相互理解の促進と排他性のジレンマ

 1 相互依存関係の拡大と国民共同体

 2 「コミュニケーション・システム」としての国民共同体

 3 「想像の共同体」としての国民共同体

 4 永遠の「未完のプロジェクト」



第3章 ナショナリズム概念の再検討──理念的/認識的ナショナリズムとマスメディア

 1 ナショナリズムはイデオロギーか

 2 認識的ナショナリズムと理念的ナショナリズム

 3 ナショナリズムとマスメディアはどのような関係にあるのか

 4 ナショナリズム研究の応用を目指して



第4章 ナショナリズムは肯定できるか──差異の(不)可視化とマスメディア

 1 「進歩派のジレンマ」とリベラル・ナショナリズム

 2 国民的連帯は肯定できるか

 3 差異は連帯を阻害するのか

 4 国民的連帯を蝕むナショナリズム



第5章 ナショナリズムは福祉を促進しうるか──政策形成過程における言説とマスメディアの役割

 1 ナショナル・アイデンティティとしての福祉

 2 政策形成における言説とナショナリズムの役割

 3 マスメディアと政策形成

 4 マスメディア、ナショナル・アイデンティティ、社会政策



第6章 同胞を疑うナショナリズム──国民共同体の物語とマスメディア

 1 シニカルなナショナリズム

 2 シニック・ナショナリズムを支える物語

 3 開かれた国民の物語は可能か

 4 国民の物語と社会・経済との好循環



第7章 マスメディアはいかに連帯を構築するのか──共感原理の可能性と危険性

 1 マスメディアによる共感の喚起と連帯

 2 共感原理への批判

 3 社会的弱者をいかに表象すべきか

 4 複合的連帯の発見



第8章 ナショナリズムの排他性はいかに緩和されるか──シティズンシップの民主主義的拡張とマスメディア

 1 高揚する反移民感情とシティズンシップ

 2 シティズンシップをめぐる政治

 3 シティズンシップとマスメディア

 4 シニカルなマスメディア観を越えて



補論 冷戦期米国のマスコミュニケーション研究における宣教師的ナショナリズム──マスメディアの影響に関する言説とその政治的文脈

 1 限定効果理論とコミュニケーション発展論の齟齬

 2 マスコミュニケーションの「効果」をめぐる言説

 3 冷戦期マスコミュニケーション研究の政治的文脈



あとがき

初出一覧

参考文献

索引

津田 正太郎[ツダ ショウタロウ]
津田 正太郎(つだ しょうたろう)
1973年大阪府生まれ. 1997年慶應義塾大学法学部政治学科卒業. 2001年サセックス大学大学院(Media Studies, MA)修了. 2003年慶應義塾大学大学院法学研究科単位取得退学. 財団法人国際通信経済研究所を経て, 法政大学社会学部教授. 主要著作:『公共放送BBCの研究』(共著, ミネルヴァ書房, 2011年), 『表現の自由? 状況から』(共著, 尚学社, 2011年), 『戦後日本のメディアと市民意識 「大きな物語」の変容』(共著, ミネルヴァ書房, 2012年), 『メディアは社会を変えるのか メディア社会論入門』(単著, 世界思想杜, 2016年)など.

内容説明

ナショナリズムとマスメディアの関係をどう捉えるのか。マスメディアが人びとの連帯のために果たすべき役割とは。ナショナリズムの分析と規範理論を架橋する!

目次

序章 「彼ら」のナショナリズムから「われわれ」のナショナリズムへ
第1章 近代化論における「革命なきナショナリズム」の肯定―コミュニケーション発展論とその「政治的なもの」の欠落について
第2章 社会的コミュニケーション論におけるナショナリズム観―相互理解の促進と排他性のジレンマ
第3章 ナショナリズム概念の再検討―理念的/認識的ナショナリズムとマスメディア
第4章 ナショナリズムは肯定できるか―差異の(不)可視化とマスメディア
第5章 ナショナリズムは福祉を促進しうるか―政策形成過程における言説とマスメディアの役割
第6章 同胞を疑うナショナリズム―国民共同体の物語とマスメディア
第7章 マスメディアはいかに連帯を構築するのか―共感原理の可能性と危険性
第8章 ナショナリズムの排他性はいかに緩和されるか―シティズンシップの民主主義的拡張とマスメディア
補論 冷戦期米国のマスコミュニケーション研究における宣教師的ナショナリズム―マスメディアの影響に関する言説とその政治的文脈

著者等紹介

津田正太郎[ツダショウタロウ]
1973年大阪府生まれ。1997年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2001年サセックス大学大学院(Media Studies,MA)修了。2003年慶應義塾大学大学院法学研究科単位取得退学。財団法人国際通信経済研究所を経て、法政大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

11
ナショナリズムとマスメディアの関係を国民共同体への帰属意識、連帯や排除といった面から分析した学術的な論文。中でもリベラル・ナショナリズム論とグローバル正義論に関して考察した章は読み応えがあった。国民共同体の内部における富の再分配を重視することは、国家間に存在する巨大な経済格差を看過することに繋がるのではとの批判があることを提示し、ここでジョン・ロールズの正義論を引っ張り出し更に深堀を試みるも、著者もさすがにこのテーマは本書の射程を遥かに超えると、議論の紹介に留めているが、全体的には深みを感じる一冊。 2017/02/18

awe

3
すごく勉強になった。別に読書メモを作ったのでここでは簡単に。本書では、認識的ナショナリズム/理念的ナショナリズムの二分法を採用する。前者は「誰が国民か」に関する条件やナショナルアイデンティティで、後者は具体的なナショナリズム実践のことである。両者を区分しその相互作用を見るというのが本書を通底する分析視角となっている。興味深いのは4章の米国の話。米国では人種的多様性があるからこそ、社会関係資本や国民同士の信頼が醸成されにくく、社会保障が未発達だという通説に反論。そして、福祉を充実させることが逆説的に国民の2021/01/14

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