内容説明
乳児の泣きにも大人の泣きにも規則性がある。それはいったいどういうことか。社会構成主義、社会化論、制度化論、記憶論から大胆に読み解く。
目次
第1部 感情経験への社会学的接近(感情はどこにあるのか―社会化・制度化への着目;感情社会学の変遷と課題―社会・文化性の問い方をめぐって;日常生活における感情経験の構造)
第2部 社会化される涙(微笑みあう涙―「発達」の原初形態としての泣きの記述;ことばの前の“泣き”―「泣き声」の意味づけをめぐる相互行為の分析;しょうがい児が泣く―泣きとその記述をめぐる相互行為分析)
第3部 制度化される涙(「家族」になった「父」と「娘」―成員性の喪失と回復手続きとしての“泣き”;「涙の共同体」としての『3年B組金八先生』―卒業式における「集合的な泣き」の分析;「感情の共同体」の創出―明治期における小学校卒業式の変幼;社会の中の涙・涙の中の社会)
著者等紹介
北澤毅[キタザワタケシ]
1953年生まれ、筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。現在、立教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tegi
1
アイドルの涙について考えたくってつまみ読み。広く色々な方向にカバーされていて、興味深い指摘や報告がたくさん。2017/03/11
いぐさ
0
第三章、『日常生活における感情経験の構造』について。感情表出の前段階として「驚き」があると論じられており、その文学的例として『銀河鉄道の夜』が取り上げられている。たしかに、カムパネルラが消えた場面で、ジョバンニは「鉄砲丸のやうに」立ち上がった後、涙を流しており、その描写には違和感がない。逆に、カムパネルラがいなくなったことに気づいた次の瞬間に、ジョバンニが泣いたと描写されていた場合、読者はその唐突さから、ジョバンニの感情表出を不適切に感じることだろう。「驚き」の役割を指摘した本章は、興味深い内容だった。2023/08/15