内容説明
カルト問題、民俗、政治、教育―社会のさまざまな領域と結びつき、私たちの慣習や価値観の中に溶け込んだ形で存在する日本の宗教を初学者にも分かりやすく解説する。
目次
総論―日本社会における宗教の特徴
新宗教の展開と現状
社会問題化する宗教―「カルト問題」の諸相
生きづらさと宗教―宗教の新しい社会参加のかたち
拡散・遍在化する宗教―大衆文化のなかの「スピリチュアル」
聖地巡礼とツーリズム
日常/生活のなかの宗教―「民俗」を越えて
変わりゆく葬儀・墓
生命倫理学とスピリチュアルケア―死生の臨床と宗教
政治と宗教―現代日本の政教問題
日本における宗教教育の歴史とその課題
グローバル化する日本の宗教―日本宗教の海外進出と外来宗教の到来
社会を読み解くツールとしての宗教社会学
著者等紹介
高橋典史[タカハシノリヒト]
東洋大学社会学部准教授。1979年生。一橋大学大学院社会学研究科単位取得退学。博士(社会学)。専門は、宗教社会学(日本宗教の海外布教、移民と宗教)
塚田穂高[ツカダホタカ]
國學院大學研究開発推進機構助教。1980年生。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。修士(文学)。専門は、宗教社会学・近現代日本の宗教運動
岡本亮輔[オカモトリョウスケ]
成蹊大学、慶應義塾大学ほか非常勤講師。1979年生。筑波大学大学院人文社会科学研究科修了。博士(文学)。専門は、宗教社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
22
宗教社会学の教科書として編纂されたもので、学問的に、社会を読み解くツールとしての宗教社会学に初めて触れる人向けのものとなっている。現在、統一教会問題で脚光が当たっている新宗教やカルトの問題は第2章・第3章で塚田穂高が簡潔に紹介し、その後のコラムで大澤広嗣が「宗教法人とは何か」を論じているので、参考になる。あくまでも概説書なので、個別のテーマについては「さらに学びたい人のためのブックガイド」を参考に探していく形になる。そろそろ増補・改訂版が出てもいいかな……。2022/07/25
Koning
12
宗教社会学の教科書として書かれた本。複数著者により、宗教と社会の関わりを考える。特筆すべきは新宗教とカルトに割かれた2つの章。前者は創価学会をモデルに、後者はオウムと統一教会をモデルに、宗教であるからこその精神的なアプローチを問題にし、ありきたりなラベル付けによる思考停止をいましめている。惜しむらくは自称非宗教だが実質カルトなセミナー系等ももう少し突っ込みたかったんだろうけれど、枚数が足りないようで。また、生きづらさという所でホームレス支援NPOとキリスト教のかかわりを紹介したり、そうした支援を(続2012/11/20
gecko
9
現代日本の宗教と社会にかかわる事象を宗教社会学の立場から読み解く大学1・2年生向けの入門書。多様なテーマについてそれぞれコンパクトに概説されており、興味のある章から読むことができる。「カルト問題」(第3章)と政治と宗教の関係(第10章)を目当てに読み始めたが、全体に目を通すことで、〈「宗教」の存在感が希薄なようでいて、宗教的な「何か」が社会のさまざまな領域と結びつき、人々の慣習や価値観の中に溶け込んだ形で存在する日本〉を捉えることができて面白かった。2012年発行とやや古いので、各領域の現況も知りたい。2022/08/21
belier
4
主に統一教会などカルトについて知識を得たいと思ったが、それには物足りない。10年前に出版された本なのでちょっと古い。とはいえ、宗教社会学の入門書として読んだら、若手の研究者たちが幅広いテーマをカバーしており学ぶものはあった。文章も読みやすくていい。2022/07/18
りょう
3
カルトや宗教と政治を学びたくて購入。大学生向けの概説書。日々の生活の中でほとんど意識しない宗教。宗教と社会の間には様々な課題があるんだということを認識。ここのことをもう少し深掘りしたかった。2022/10/05