出版社内容情報
分配の不平等と相対的剥奪を体系的に考える。なぜ社会的資源は不平等に配分され、どうして不平等の感じ方は人によってさまざまになるのか、その関係を分析する。
現実社会が格差社会かどうか、また格差社会は不正義か、このいずれでもなく、不平等な配分や配分量の認識がどんなメカニズムで生じているか、を問う数理社会学的研究。恵まれた人が相対的に不満を感じるメカニズムおよび恵まれない人が恵まれている人よりも主観的には満足を得る逆転のメカニズムを、数理的に定式化し体系的に分析する。
はじめに
第1章 他人と比べて満足かどうか:相対的剥奪と準拠集団
1.1 恵まれているのに感じる不満:アメリカ兵の事例
1.2 相対的な剥奪をモデルで表す
1.3 ゲーム論から見た剥奪のモデル:混合戦略ナッシュ均衡
1.4 剥奪のモデルから分かること
1.5 期待と現実の比較
1.6 誰と自分を比較するのか:準拠集団の選択
1.7 自分と似ている他者との比較
第2章 裕福な人が少ないのはなぜか:所得分布の生成モデル
2.1 経済学における先行研究
2.2 繰り返し投資ゲーム
2.3 投資を繰り返した結果:正規分布の導出
2.4 豊かな人は, ますます豊かになる:対数正規分布の導出
2.5 対数正規分布の性質
2.6 不平等度の分析:ジニ係数による分析
第3章 過去の体験と現在の評価:公正評価と反復投資ゲーム
3.1 これだけもらえる, という期待
3.2 どんな履歴をたどってきたのか
3.3 期待公正配分モデルから分かること
3.4 リスキーな社会と安全な社会
3.5 分配的正義論と一般理論社会学
第4章 いまの収入に満足しているか? :
経済的地位の自己評価と準拠集団
4.1 所得階層における相対的充足
4.2 自分に近い他人の選択:δ区間モデルの定式化
4.3 δ 区間モデルから分かること
4.4 データとの対応
4.5 δ 区間モデルの課題
第5章 高齢化と不平等の関係:連続分布によるジニ係数の分解
5.1 高齢化は必ず不平等に結びつくのか?
5.2 ジニ係数の分解
5.3 パラメトリックな分解
5.4 分解モデルのデータへの適用
第6章 数理社会学者の課題:
弱い経験的妥当性と意味の問題について
6.1 究極の問題は存在しない
6.2 どうすれば解けたことになるのか
6.3 意味への言及と検証の問題
6.4 モデルのリアリティと数学リテラシー
6.5 まとめ
付録A 数学的準備
参考文献
あとがき
索引
内容説明
「分配の不平等」と「相対的剥奪」―社会的資源の不平等な配分メカニズムと、その配分のもとでの人々の相対的な自己評価の決定メカニズム―の関係を、数理モデルを使って、体系的に明らかにする。
目次
第1章 他人と比べて満足かどうか:相対的剥奪と準拠集団
第2章 裕福な人が少ないのはなぜか:所得分布の生成モデル
第3章 過去の体験と現在の評価:構成評価と反復投資ゲーム
第4章 いまの収入に満足しているか?:経済的地位の自己評価と準拠集団
第5章 高齢化と不平等の関係:連続分布によるジニ係数の分解
第6章 数理社会学者の課題:弱い経験的妥当性と意味の問題について
付録A 数学的準備
著者等紹介
浜田宏[ハマダヒロシ]
1970年生まれ。関西学院大学社会学部准教授(任期制)。専攻は数理社会学、社会階層論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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