内容説明
将来世代と交渉する社会の創造。まだ見ぬ子孫と共存するために、私たちはなにができるのか。
目次
フューチャー・デザイン
将来省のデザイン
市場と民主制を補完する将来世代―フューチャー・デザインの研究課題
長期的な将来社会ビジョン構想のためのバックキャスティング
科学技術イノベーション政策とフューチャー・デザイン
水・大気環境問題の歴史から将来を考える
持続可能な社会に向けた都市づくり・まちづくりとは?
森林管理からみるフューチャー・デザインの必要性―林業と木材利用を中心とした日本の現状
地下水管理問題から考える水資源利用とフューチャー・デザイン
将来世代への情けは人のためならず
発想の転換から新しい価値を生み出す
夢見る子孫繁栄
著者等紹介
西條辰義[サイジョウタツヨシ]
ミネソタ大学大学院経済学研究科修了。Ph.D.(経済学)。現在、一橋大学経済研究所教授、大阪大学環境イノベーションデザインセンター特任教授、高知工科大学経済・マネジメント学群客員教授、同大学制度設計工学研究センター客員研究員。専門は制度設計工学、公共経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
40
アイデアの一つは、現世代の中に将来世代を創る。将来世代になり切る人々の集団を形成。将来省:仮想将来世代が現世代と交渉する環境を整備する集団(20頁)。将来そのものを仮想将来世代との交渉でデザインし、達成するために仕組みをデザインするという、従来学問では考えなかった新課題に人類は直面(22頁)。将来学という学問(同頁)は魅力的な領域である。将来世代のためにと考えて行動することは、めぐりめぐって現世代のためにもなり得る。将来世代のために行う行動は、振りかかる破滅確率を下げる効果もある(230-1頁)。2016/11/08
masabi
20
【要旨】将来世代の利害も取り入れたフューチャー・デザインの概要と各分野でのフューチャー・デザインの必要性を解く。【感想】各章の質がバラバラなのと重複部分がある。現行の市場と政治制度では将来世代を取り零してしまうので、仮想的将来世代を設定し彼らと私達が討議を重ねる形で将来世代の利害を踏まえた政策決定をする、というのが大まかな内容だ。しかし、仮想的将来世代の取り込みの提言が人材育成に限られているので空論の印象が強い。2017/02/16
けん
10
★2.5 西條先生の章が面白かった。2019/05/03
marukuso
1
7世代先の子孫の世代を仮想的に現在に出現させる将来省。おま私たちがなにをすべきかありうる将来像から逆算していまの政策に反映させるバックキャスティング。実際には難しいことばかりなのだけどとても魅力的な議論。各論は財政、環境、科学技術などについて語られる。面白いなと思ったのは林業の例。交換とか効用とかが得られるのを、時間というラグをどう持つかという視点から考えさせられる。2019/07/04
ダーブラ
1
「市場という仕組み+民主制」は今ある限りある資源を食い尽くす制度であり,将来のことを考慮に入れる新たな仕組みを作り上げる必要があることは理解できるのですが,パリ協定を脱退したトランプ政権の誕生のように,現実はこれとは全く逆に進んでいるように見えます.このような制度を実際に作り上げるためには例えば民主制を捨てるなどの方策を取る必要があるのでしょうか.その辺りの議論が不足しているように感じました.2017/09/29