出版社内容情報
ポストTPPを睨みながら主要国はどのように対応するのか。新たな通商秩序に向けた動きを、企業の対応を含みながら分析する。いまやTPP交渉の大筋合意によって、他のメガFTA交渉も加速することが見込まれる。本書は、ポストTPPの世界経済秩序を睨み、メガFTA交渉の現状と課題、主要国のメガFTAへの対応、グローバル・サプライチェーンの効率化を目指す企業の視点から直面する課題など最新の動きを分析する。
まえがき
第1部 メガFTAの意義と課題
第1章 21世紀型貿易とメガFTAの潮流[馬田啓一]
はじめに
第1節 WTOドーハ・ラウンドの失速
第2節 21世紀型の貿易ルールとメガFTA
第3節 アジア太平洋の新通商秩序:TPPとRCEPの相克
第4節 日欧と米欧のメガFTA:拡がる中国包囲網
第5節 メガFTA時代のWTO:新たな役割
第2章 TPPの概要と評価[石川幸一]
はじめに
第1節 TPP協定の概要(市場アクセス分野)
第2節 ルール分野
第3節 TPP協定の評価
おわりに
第3章 日EU・FTAの意義──普遍的価値を共有する自由貿易地域の構築[渡邊頼純]
はじめに
第1節 GATT・WTO体制とEU
第2節 GATT・WTO体制と欧州統合の相互作用
第3節 日EU関係とGATT・WTO体制:摩擦から協調へ
第4節 日EU・FTAの意義
第4章 TTIP(米EU・EPA)交渉の現状・課題・展望[田中友義]
はじめに
第1節 TTIP交渉の進捗
第2節 交渉の枠組み
第3節 交渉の争点と今後の展望
第5章 RCEPの意義と課題[助川成也]
はじめに
第1節 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉までの道のり
第2節 RCEPの意義と役割
第3節 日本企業にとってのRCEP
おわりに:RCEP実現に向けて
第6章 日中韓FTA交渉の戦略的重要性[久野新]
はじめに
第1節 日中韓FTA交渉の経緯
第2節 日中韓FTA交渉の戦略的重要性の高まり
おわりに
第7章 ASEAN経済共同体の課題[大庭三枝]
はじめに
第1節 AECの沿革と意義
第2節 AECの現段階
第3節 次なる方向性と課題
おわりに:真の地域共同体を目指すために
第2部 主要国のメガFTAへの対応
第8章 ASEANとメガFTA──AEC,RCEP,TPP[清水一史]
はじめに
第1節 2015年末のAEC創設とASEAN経済統合
第2節 ASEAN域内経済協力の展開と世界金融危機後の東アジア
第3節 RCEPとASEAN
第4節 TPPとASEAN
おわりに
第9章 中国のFTA戦略と「一帯一路」構想[遊川和郎]
はじめに
第1節 WTOからFTAへ
第2節 メガFTAへの取り組み
第3節 「一帯一路」構想
第10章 ロシアの外交戦略とユーラシア連合構想[廣瀬陽子]
はじめに
第1節 ユーラシア連合構想とロシアのグランドストラテジー
第2節 ユーラシア連合構想に至るまでの旧ソ連地域の統合の動き
第3節 ユーラシア連合構想の現状と展望
第11章 メガFTAとインドの対応[吉竹広次]
はじめに
第1節 インドの貿易関係・政策の推移:Look EastからAct Eastへ
第2節 インドの貿易関係とメガFTA地域
第3節 メガFTAが与えるインドへの影響
第4節 メガFTAとインドの課題
第5節 RCEP交渉:インドの挑戦
第12章 韓国のFTA戦略[百本和弘]
はじめに
第1節 FTA大国に躍進した韓国
第2節 朴槿恵政権のFTA政策
第3節 企業のFTA使用支援策および農業政策
第4節 TPPに対する韓国の視点
第3部 メガFTAとグローバル企業の対応
第13章 日本企業のサプライチェーンとFTA──ASEANを事例として[石川幸一]
はじめに
第1節 サプライチェーンの効率化
第2節 ASEANでの日本企業サプライチェーンの形成と変化
第3節 地域統合の進展とサプライチェーン
第4節 仲介貿易とサプライチェーン
第5節 メガFTA時代とサプライチェーン
おわりに
第14章 TPP貿易とRCEP貿易の展望──関税撤廃効果とサプライチェーン効果[大木博巳]
はじめに
第1節 EUとTPP,RCEPの域内貿易構造
第2節 中国のRCEP貿易,TPP貿易
第3節 TPPが中国の対米輸出に与える影響
第4節 中国生産・調達の変化,加工貿易の減少
第5節 今後の展望
第15章 FTAの関税削減効果と企業の対応[高橋俊樹]
はじめに
第1節 TPPは工業製品の関税をほぼ撤廃
第2節 他のメガFTAよりも小さいTPPの関税削減効果
第3節 TPPの農産物や自動車部品などの貿易に与える影響
第16章 日本の輸出入におけるTPPの影響[吉岡武臣]
はじめに
第1節 TPPにおける各国の関税撤廃率
第2節 日本の輸入への影響
第3節 日本からの輸出への影響
おわりに
第17章 企業におけるFTA活用上の問題点[上之山陽子]
はじめに
第1節 FTA活用の受益者
第2節 生産者がFTA活用する際の障壁
第3節 メガFTAを使いこなすには
おわりに
第18章 日本におけるFTAの利用状況と政策的課題[宋俊憲]
はじめに
第1節 日本企業のFTA利用状況
第2節 FTA利用の決定要因
第3節 新たな課題:検認
索引
石川 幸一[イシカワ コウイチ]
石川幸一(亜細亜大学アジア研究所所長)
馬田 啓一[ウマダ ケイイチ]
馬田啓一(うまだけいいち)1949年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。杏林大学名誉教授。主な著書に、『日米経済関係論』(共編著、勁草書房、2006年)、『検証・金融危機と世界経済』(共編著、勁草書房、2010年)、『日本通商政策論』(共編著、文眞堂、201!年)、『日本のTPP戦略』(共編著、文眞堂、2012年)、『TPPと日本の決断』(共編著、文眞堂、2013年)、など。
渡邊 頼純[ワタナベ ヨリズミ]
渡邊頼純(慶應義塾大学教授)
内容説明
21世紀型の新たな貿易の主役はメガFTAだ。ポストTPPをめぐるメガFTA交渉の現状と課題、主要国のメガFTAへの対応、グローバル企業の直面する課題など最新の動きを分析する。
目次
第1部 メガFTAの意義と課題(21世紀型貿易とメガFTAの潮流;TPPの概要と評価;日EU・FTAの意義―普遍的価値を共有する自由貿易地域の構築;TTIP(米EU・EPA)交渉の現状・課題・展望
RCEPの意義と課題
日中韓FTA交渉の戦略的重要性
ASEAN経済共同体の課題)
第2部 主要国のメガFTAへの対応(ASEANとメガFTA―AEC、RCEP、TPP;中国のFTA戦略と「一帯一路」構想;ロシアの外交戦略とユーラシア連合構想;メガFTAとインドの対応;韓国のFTA戦略)
第3部 メガFTAとグローバル企業の対応(日本企業のサプライチェーンとFTA―ASEANを事例として;TPP貿易とRCEP貿易の展望―関税撤廃効果とサプライチェーン効果;FTAの関税削減効果と企業の対応;日本の輸出入におけるTPPの影響;企業におけるFTA活用上の問題点;日本におけるFTAの利用状況と政策的課題)
著者等紹介
石川幸一[イシカワコウイチ]
1949年生まれ。東京外国語大学外国語学科卒業。ジェトロ国際経済課長、国際貿易投資研究所研究主幹を経て、亜細亜大学アジア研究所所長・教授
馬田啓一[ウマダケイイチ]
1949年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。杏林大学総合政策学部教授、客員教授を経て、杏林大学名誉教授。(一財)国際貿易投資研究所理事
渡邊頼純[ワタナベヨリズミ]
1953年生まれ。上智大学大学院国際関係論専攻博士課程修了。南山大学経済学部助教授、大妻女子大学比較文化学部教授、GATT事務局、外務省大臣官房参事官兼経済局、外務省参与等を経て、2005年より慶應義塾大学総合政策学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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KJ.O