出版社内容情報
利害の衝突(コンフリクト)をどのように考え、どのようにすればよいのか。コンフリクトの問題を解き明かし方法論として体系化する。
本書はコンフリクトマネジメントを水資源の問題に特定し考えるものである。水資源問題は地球規模で進展している最重要課題であり、また急増する人口問題が直面する一番の問題でもある。さらに環境問題との関わりも深い。喫緊の課題である水資源コンフリクトを解決することにより、社会に存在するコンフリクトにかなりの範囲で応用可能である。
第1章 水資源問題の現在と将来
1.1 地球規模の水資源問題
1.2 日本国内の水資源問題
1.3 システムズ・アナリシスによる適応的計画方法論
第2章 水資源コンフリクト
2.1 水資源コンフリクトとは何か
2.2 世界の水資源コンフリクトの歴史と現況
2.3 日本の水資源コンフリクトの歴史と現況
第3章 コンフリクトマネジメント
3.1 コンフリクトマネジメントとは何か
3.2 コンフリクトマネジメントの方法
3.3 コンフリクトマネジメントのためのシステム
3.4 第3者機関に関する議論
第4章 コンフリクト分析モデルと安定性
4.1 コンフリクト分析と限定合理性
4.2 コンフリクト分析モデル
4.3 数学的安定性と社会的安定性の関連
第5章 コンフリクト構造の変化要因モデル
5.1 コンフリクト構造の変化要因とは
5.2 相互評価モデル
5.3 意見分布分類モデル
5.4 行動決定モデル
第6章 コンフリクト分析モデルの適用事例
6.1 川辺川ダム建設問題
6.2 メコン川流域開発問題
6.3 ガンジス川水資源配分問題
第7章 長期的コンフリクトの歴史過程の分析
7.1 長良川河口堰問題の背景
7.2 プレイヤーの態度変化と歴史分析
7.3 歴史過程における調整者の認知
第8章 寄贈者によるコンフリクトマネジメント
8.1 開発派と流域生活者のコンフリクト
8.2 相互評価によるコンフリクト分析
8.3 プレイヤー間の歩み寄りの誘導
第9章 仲裁者によるコンフリクトマネジメント
9.1 開発派と環境保護団体のコンフリクト
9.2 意見分布分類によるコンフリクトの構造化
9.3 プレイヤーの行動規制
第10章 コンフリクトマネジメントの実行可能性
10.1 第3者機関の役割特性とその組み合わせ
10.2 ナイル川における第3者機関の役割
10.3 長良川における第3者機関の役割
10.4 コンフリクトマネジメントの意義
付録A GMCRにおける安定性の定義
A.1 2人コンフリクトとn人コンフリクト共通の定理
A.2 2人コンフリクトの定理
A.3 n人コンフリクトの定理
付録B ナッシュ均衡点の存在証明
B.1 Brouwer の不動点定理
B.2 角谷の不動点定理
B.3 ナッシュ均衡点の存在定理
付録C 微分方程式系とゲーム理論における安定性の関連
付録D 意見分布の分類
付録E 社会システムにおけるパラメータの意味の考察
E.1 フォッカー・プランク方程式の導出
E.2 フォッカー・プランク方程式とランジュバン方程式の同値性
E.3 ランジュバン方程式による社会変化の表現
参考文献
あとがき
索引
内容説明
本書はコンフリクトマネジメントを水資源の問題に特定し考えるものである。地球規模で進展している最重要課題であり、また急増する人口問題などが直面する喫緊の課題である水資源コンフリクトの解決を考えることにより、社会に存在する国内外のコンフリクトにかなりの範囲で応用できる。
目次
水資源問題の現在と将来
水資源コンフリクト
コンフリクトマネジメント
コンフリクト分析モデルと安定性
コンフリクト構造の変化要因モデル
コンフリクト分析モデルの適用事例
長期的コンフリクトの歴史過程の分析
寄贈者によるコンフリクトマネジメント
仲裁者によるコンフリクトマネジメント
コンフリクトマネジメントの実行可能性
GMCRにおける安定性の定義
ナッシュ均衡点の存在証明
微分方程式とゲーム理論における安定性の関連
意見分布の分類
社会システムにおけるパラメータの意味の考察
著者等紹介
萩原良巳[ハギハラヨシミ]
京都大学防災研究所(水資源環境研究センター)教授。1946年、京都市に生まれる。1968年、京都大学工学部土木工学科卒業。1970年、同大学院工学研究科土木工学修士課程修了。同年、(株)日水コン入社。システム開発部長、中央研究所主席研究員を経て、1994年、流通科学大学商学部教授。この間、1977年京都大学工学博士(題目;水環境計画に関するシステム論的研究)、東京都立大学土木工学科非常勤講師、同大学院ならびに岐阜大学大学院非常勤講師。1997年、京都大学防災研究所(総合防災研究部門、自然・社会環境防災研究分野)教授。2005年、同研究所水資源環境研究センター(社会・生態環境研究領域)に配置換え、現在に至る
坂本麻衣子[サカモトマイコ]
(独)科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業研究員。1977年、タイ国バンコク市に生まれる。2000年、京都大学工学部地球工学科卒業。2002年、同大学院工学研究科土木システム工学専攻修士課程修了。2005年、同大学院博士課程修了、博士(工学)(題目;水資源開発における社会的コンフリクトマネジメントに関する研究)。同年、独立行政法人科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業研究員となり、現在に至る。2003年11月日本地域学会「奨励賞」受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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