出版社内容情報
合理的な意思決定は強力であるが、矛盾を内包しているのも事実である。合理性が求められる意思決定の場面で、適度に柔軟な非合理戦略を選択したらどんな結果になるだろうか。合理的な意思決定に矛盾を感じ始めた私たちの中に、しだいにこのような疑問が浮かび、理論として分野され始めた。
本書では、合理的な意思決定、特にゲーム理論で考えられている合理性とはどういうものかについての入門的な解説から始め、柔軟性による非合理性を取り入れた意思決定が理論の中でどのように扱われているかについて最近の発展を中心に紹介し、主に
第1章 競争と社会の意思決定
1.1 競争の意思決定
1.2 社会の意思決定
1.3 本書の構成
第Ⅰ部 柔軟性と競争の戦略
第2章 標準形ゲーム
2.1 記号の準備
2.2 標準形ゲームの基礎
2.3 標準形ゲームの分析
2.4 標準形ゲームの応用──公共政策の評価
第3章 展開形ゲーム
3.1 記号の準備
3.2 展開形ゲームの基礎
3.3 展開形ゲームの分析
3.4 繰り返しゲーム
第4章 メタゲーム分析とコンフリクト解析
4.1 メタゲーム分析
4.2 コンフリクト解析
第5章 ハイパーゲームとソフトゲーム
5.1 ハイパーゲーム
5.2 ソフトゲーム
第Ⅱ部 柔軟性と社会の戦略
第6章 協力ゲーム
6.1 協力ゲームの定義
6.2 協力ゲームの分析
6.3 協力ゲームの応用──提携の形成の分析
第7章 会議の理論
7.1 会議の定義
7.2 会議のコア
7.3 選好の違いと提携の形成
第8章 許容会議の理論
8.1 許容会議の定義
8.2 許容ゲームと提携の比較
8.3 提携の安定性
第9章 会議と情報交換
9.1 仮想会議の定義
9.2 仮想会議とコア
9.3 理想の選好と許容範囲
参考文献
おわりに
索引
内容説明
ヒトはなぜ非合理的な行動をとるのだろう?合理性が求められる意思決定の場面で、適度に柔軟な非合理戦略を選択したらどんな結果になるだろう。柔軟性による非合理性をとりいれた意思決定と合理的な意思決定とのちがいに焦点を当てる。
目次
競争と社会の意思決定
第1部 柔軟性と競争の戦略(標準形ゲーム;展開形ゲーム;メタゲーム分析とコンフリクト解析;ハイパーゲームとソフトゲーム)
第2部 柔軟性と社会の戦略(協力ゲーム;会議の理論;許容会議の理論;会議と情報交換)
著者等紹介
猪原健弘[イノハラタケヒロ]
東京工業大学大学院価値システム専攻助教授。東京都国立市にある桐朋高校を卒業後、東京工業大学に進学。1992年に東京工業大学理学部数学科を卒業し、同大学大学院システム科学専攻へと進学、1997年に博士(理学)の学位を受ける。日本学術振興会の特別研究員(PD)、東京工業大学大学院知能システム科学専攻助手、同大学大学院価値システム専攻講師を経て、現職。専門分野は数理的意思決定理論、数理的社会システム理論。心理学や法学と、意思決定理論の境界領域に興味を持ち、契約、知的財産、提携の形成などさまざまな対象を数理的なモデルを用いて分析している
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