出版社内容情報
パブリック・ドメインの醸成と確保という視点から、新たな時代に対応できる柔軟な知的財産法の構築を目指す意欲的研究書
知的財産法の世界では、近年のめざましい技術の進歩を背景として、パブリック・ドメインとの境界線上における紛争が多発している。本書では、従来あまり重視されてこなかったパブリック・ドメインを中心に据えて、創作の奨励や産業・文化の発展のため、いかにしてパブリック・ドメインを豊かにし、その利用を確保するのかという観点から、各種の知的財産法の構築を目指す。
内容説明
「パブリック・ドメイン・アプローチ」を通じた柔軟な知的財産制度の構築を目指して。従来、知的財産権の及ばない領域にあるものとして、ともすれば知的財産権に対立するものと考えられることの多かった「パブリック・ドメイン」。しかし、それは、知的財産の創作を促すために不可欠のものであり、その醸成と利用の確保こそが、知的財産権の究極の目的なのではないだろうか。本書では、そのような視点から、全3巻を通して各法を横断的に分析し、真の意味での産業や文化の発展に資する知的財産制度の構築を目指す。第3巻では、不正競争防止法と商標法を扱う。
目次
第1部 総論(プロ・イノヴェイションのための市場と法の役割分担:インセンティヴ支援型知的財産法の意義―限定提供データの不正利用行為規制を素材として)
第2部 不正競争防止法(産業上の創作に関するパブリック・ドメインと不正競争防止法上の商品等表示としての保護;標識法における機能性法理;人工知能に特有の知的成果物の営業秘密・限定提供データ該当性 ほか)
第3部 商標法(商標権侵害訴訟における商標の類似性要件の実証的研究;商標的使用論の再構成;メタタグ・検索連動型広告における商標の使用)
著者等紹介
田村善之[タムラヨシユキ]
東京大学大学院法学政治学研究科教授、北海道大学名誉教授。専門は知的財産法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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