出版社内容情報
法は文学と交わることでどのように変わるのか? 法そのものや法律家の活動を文学として読み解く「法と文学」の可能性。
法理論、法教育をめぐってアメリカなどで展開されている「法と文学」の歴史と応用可能性。法解釈や文芸批評を超えてさまざまな法分野に乗り出す「法と文学」をその理論的系譜から説き起こし、物語論、法律家像、因果関係、権利主体、証言、国家の起原までをも論じる。
内容説明
法は、文学と交わることでどう変わるのか?「法と文学」という可能性。法解釈や文芸批評を超えてさまざまな法分野に乗り出す「法と文学」を、理論的系譜から説き起こし、物語論、法律家像、因果関係、権利主体、証言、国家の起源までをも論じる。
目次
第1篇 「法と文学」研究とはなにか(「法と文学」のアメリカ史;ジェームズ・ボイド・ホワイトと初期の「法と文学」;法と物語り)
第2篇 「法と文学」研究の応用可能性(三宅正太郎の法思想―「裁判の道」と芸術の関係について;フィクションとしての因果関係;権利主体性の根拠とフィクション;法と芸術の交錯;深淵の法哲学に向けて)
補論 日本における「法と文学」と今後の展望
著者等紹介
小林史明[コバヤシフミアキ]
明治大学法学部卒業、明治大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。明治大学法学部助手、日本学術振興会特別研究員PDを経て、明治大学法学部専任講師。専門は法哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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LM
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【通読】「法と文学」に関する論文集で、分野の性質上、三宅正太郎や映画『SHOAH』、AI・ロボットに関する法的課題など多様なテーマが扱われており、法哲学の拡がりを垣間見ることができてたいへん面白かった。第1-3章まではアメリカ法思想史上の「法と文学」の位置付けが示される。大掴みにいえば、アメリカ建国期の法律家は文人気質だったのが、次第に実務的になっていった。法の科学化の趨勢に対抗するようにして、人文学としての法の側面や法曹の素養としての人文知を強調する派閥として「法と文学」はあった。2021/06/28