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司法が活躍する民主主義―司法介入の急増とフランス国家のゆくえ

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  • サイズ A5判/ページ数 297p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326402045
  • NDC分類 327.935
  • Cコード C3032

出版社内容情報

司法の存在が希薄なことで知られていた、人民主権の本場フランスに変化がおきている。1989年前後から人々の司法の強力化を求める声が高まりをみせ、訴追や訴訟が増えているのだ。1980年から91年まで少年事件判事をつとめるなどした現役の判事で、コソボ委員会メンバーとして名をはせた著者は、ここに民主主義の変容をみる。政治がダメになり、伝統的権威も地におちた。戦後以来の平等化への欲求がエスカレートし、誰にでも等しく法を適用してくれる司法が、人々の最後の拠り所となったのだ。司法化する民主主義の意味を多岐にわたって考察

序論
第Ⅰ部 民主主義の司法化の袋小路
第1章 法に捕えられた共和国
 1 ジャコバン流特例の終焉
 2 法の脱国家化
 3 民主主義の新しい舞台
第2章 判事の、かつてない権力
 1 特権階級の歪み
 2 ポピュリストの誘惑
第3章 直接民主制の幻想
 1 報道機関による裁判
 2 見世物の論理
 3 透明性の神話
 4 公判は撮影すべきか
第4章 刑事事件が好まれる
 1 被害者への同情
 2 もう一方の悪玉化
 3 場所の転換
第5章 規範の不確かさ
 1 犯罪非行の変化
 2 暴力の変質
第6章 個人主体の主人(司法官 magistrature)
 1 判事による統制の広がり
 2 法を内に持つこと
 3 弱者の後見
第7章 とにかく判決を
 1 立法者の困惑
 2 司法における理想化と悪玉化
 3 正しいことを言う

第Ⅱ部 新しい民主主義における司法
第8章 集合的基準の保持
 1 権威の形成
 2 権力の許可(権威づけ)
 3 現代において、宗教に代わるもの
第9章 民主主義の契約を呼び覚ませ
 1 場所の記憶
 2 権利主体の再活性
第10章 サンクションを与えて再統合する
 1 贖罪と治療を超えて:適度な距離
 2 権利と欲求を超えて:尊厳
 3 刑罰と治安を超えて:サンクション
第11章 討論の活性化
 1 司法の新しい形
 2 新しい判決行為
第12章 判事の新しい地位を定めよう
 1 公平性の再評価
 2 倫理の立て直し
 3 代表制の回復
結論

原注/訳注
解説・訳者あとがき
巻末資料:著名事件リスト
文献
索引

内容説明

本書は、元判事によって書かれたものだが、司法のあるべき姿だけを問題にしたものではない。現在司法の問題点の背後にあるのは、なによりも民主主義の変容であり、政治を抜きに今日の司法は語れない。政治哲学を展開しつつ、同じに、元実務家らしく、司法の将来像について具体的な提言にまで踏み込むものである。

目次

第1部 民主主義の司法化の袋小路(法に捕らえられた共和国;判事の、かつてない権力;直接民主制の幻想;刑事事件が好まれる;規範の不確かさ;個人主体の主人(司法官magistrature)
とにかく判決を)
第2部 新しい民主主義における司法(集合的基準の保持;民主主義の契約を呼び覚ませ;サンクションを与えて再統合する;討論の活性化;判事の新しい地位を定めよう)

著者等紹介

ガラポン,アントワーヌ[ガラポン,アントワーヌ][Garapon,Antoine]
1952年カエン生まれ。1982年パリ第二大学でカルボニエの指導のもと国家博士号を取得。1980‐1991年まで、少年事件判事を務める。パリ第二大学、オビエド大学、シカゴ大学で法社会学を教えたこともある。現在は、高等司法研究所所長、司法研修所教官として司法の研究をする一方、エスプリ編集委員、コソボ委員会委員になるなど知識人社会に登場している

河合幹雄[カワイミキオ]
1960年奈良県生まれ。1982年京都大学理学部生物系卒業。1991年京都大学大学院法学研究科博士課程修了。現在、桐蔭横浜大学法学部助教授(法社会学)
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