内容説明
右傾化の虚実を「見える化」。ネット右翼、日本礼賛番組、そして安倍政権の長期化…私たちは本当に右寄りになったのか?印象論やイデオロギーを排し、大規模な社会調査と統計学でその実態を明らかにする。
目次
序章 「右傾化」言説は何を生み出すのか
第1章 ナショナリズム―その「高まり」は本当か
第2章 国への誇り―「日本スゴイ」の原因は不満や不安なのか
第3章 「移民」の影響認知―外国人増加の影響はどう考えられているか
第4章 排外主義―外国人増加はその源泉となるか
第5章 「移民」の権利―誰が外国籍者の社会的権利を拒否するのか
第6章 政党支持―イデオロギー対立軸はどう変化しているのか
第7章 投票行動―自民党への投票は右傾化によるものなのか
第8章 政治参加―ナショナリズムはどのように影響するのか
第9章 脱原発―誰がなぜ原発に反対するのか
第10章 若者―「右傾化」の内実はどのようなものか
終章 「右傾化」現象が覆い隠す格差―多元的なナショナリズムをみつめる
著者等紹介
田辺俊介[タナベシュンスケ]
東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学、同大学より博士(社会学)を取得。東京大学社会科学研究所准教授などを経て、早稲田大学文学学術院教授。専門は社会意識論、計量社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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awe
2
「日本人は右傾化したのか」という壮大な問いを軸に、ナショナリズムと政治活動、排外主義、国への誇りなどとの関連を実証的に調査した専門書。本書を通底する分析枠組みとしては、「市民的純化主義」「民族的純化主義」「中韓排外主義」「外国人一般排外主義」がある。ここで注目したのは、排外主義を2つに分けた点である。樋口直人が明らかにしたように、東アジア地政学を基盤とする「日本型排外主義」という「特殊日本」的な排外主義が日本には存在し、それは前者の「中韓排外主義」と対応している。この2分法は各所で活きており、前者が活性化2020/08/29