内容説明
グローバリゼーションが進み、環境、格差、地域紛争などの問題群が噴出している。しかし、現状維持を志向する既存の国際政治学は、問題解決のビジョンをうまく示せていない。公正な国際秩序やグローバル・ガバナンスを構想するには、思想の力が必要である。本書では、「国際政治思想」の果たす役割を、英国学派、規範理論、ポストモダン思想などの成果を織り込みながら、明らかにしていく。
目次
序章 思想は国際政治とどうかかわるか
第1章 国家理性論の系譜としての現実主義
第2章 ユートピアの現実性―カント主義の展開とヨーロッパの平和実践
第3章 国際政治の道義的主体とは―コスモポリタン‐コミュニタリアン論争の行方
第4章 介入はいかなる正義にもとづきうるか―誤用と濫用を排するために
第5章 民主主義と武力行使―冷戦終焉後の展開とイラク戦争による「転回」
第6章 グローバルな社会正義の思想
第7章 戦争史という思想―国際関係における反実仮想の効用
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
10
「クローチェが、政治学を善悪の判断から切り離し、政治固有の法則を発見した功績をマキアヴェリに帰したのとほぼ同じころ、マイネッケは、政治術の源流をたどる作業のなかで…マキアヴェリに注目していた…このような指摘に対しては、これまで多くの異論が提起され…中世史家カントロヴィッツと法制史家ポストは、マキアヴェリが政治学を神学や道徳学から独立させる以前に…君主が「法や慣習の上に立ち、なお理性の支配を受ける」ような国家理性観念が存在していたことを根拠にして、マキアヴェリを第一発見者とみなすことはできないと論じている」2020/08/02
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