出版社内容情報
私たちが認識している世界史像は、なんらかのバイヤスがかかっていないだろうか。例えば十字軍の遠征は宗教的使命感に燃えた高潔な騎士が聖地奪回のために命を顧みずに馳せ参じたもの、フランス革命の「自由・平等・博愛」は文明社会の基礎となる普遍的理念であるというように。著者は40年近く外交の任にあたり、各国各地域の歴史や現況に直接ふれることによってこれまでの歴史認識に一面的な思いこみによるバイヤスが強く作用していることに気づいた。その視点から見ると、いろいろな史実や国際関係が<思いこみ>で語られ、受けとめられているこ
内容説明
歴史認識をめぐる“思いこみ”を洗い出し、史実を公正に客観的に見る視座を強調、日本人の世界認識と歴史観を問いただす。
目次
第1部 現代史では“思いこみ”が横行している(西洋的価値観至上主義の風潮;ミャンマー情勢の虚像と実像―流れはすでに変わっている;強まるトルコ・バッシング)
第2部 歴史認識の“思いこみ”(“思いこみ”はこうして生まれる;十字軍をイスラム側から斬る;「オスマン・トルコ」と呼ぶ誤り)
第3部 歴史をつくる当事者の“思いこみ”(コロンブスを突き動かした二重の“思いこみ”;宗教改革―“思いこみ”が招いた大殺戮;贋使節団の派遣で栄えた清緬貿易;親日国トルコを落胆させた明治政府の傲慢;“思いこみ”が破局を招いたベトナム戦争)