出版社内容情報
ゲーム理論ってどんな学問? どうすれば政治学に応用できる? 高度な数学を使わずに初学者にも丁寧に説明する定番書、待望の完訳!いろんな学問でゲーム理論の手法が広がり、ゲーム理論の入門書や教科書が増えている。しかし政治学のためのゲーム理論の教科書はこれまで日本になかった。本書は政治学のためのゲーム理論の定評ある教科書の翻訳。説明はわかりやすく、高度な数学を必要としない。巻末には基本的な数学解説や用語解説がついている。
はしがきと謝辞
第1章 概観
1.1 ゲーム理論とは何か?
1.2 ゲーム理論で何ができるか?
1.3 政治学における4つの問題
1.4 なぜモデルなのか
1.5 社会のモデル化へ向けた合理的選択アプローチ
1.6 本書の使い方
1.7 本書の計画
1.8 文献案内
第2章 効用理論
2.1 合理性の概念
2.2 効用関数はどのように行動を予測するのか
2.3 例題:ニクソンのクリスマス空爆
2.4 確実性・リスク・不確実性
2.5 リスクのもとでの効用理論
2.6 効用理論に関する誤解
2.7 効用関数と選好のタイプ
2.8 簡単な例:抑止の計算
2.9 もう1つの簡単な例題:投票の意思決定
2.10 なぜ効用理論はうまく機能しないのか
2.11 まとめ
2.12 文献案内
第3章 ゲームの特定化
3.1 状況の定式化:キューバミサイル危機における抑止
3.2 展開形ゲーム
3.3 戦略形ゲーム
3.4 まとめ
3.5 文献案内
第4章 古典的ゲーム理論
4.1 古典的ゲーム理論の用語の定義
4.2 支配・最適応答・均衡
4.3 混合戦略
4.4 ミニマックス定理と2人ゼロ和ゲームの均衡
4.5 ナッシュ均衡の特徴
4.6 ナッシュ均衡と共通の推測
4.7 合理化可能性
4.8 民主主義における政治改革
4.9 選挙の空間モデルにおける候補者間競争
4.10 協力ゲームの簡単な入門
4.11 まとめ
4.12 文献案内
第5章 展開形ゲームの解法:後向き帰納法と部分ゲーム完全性
5.1 後向き帰納法
5.2 部分ゲーム完全性
5.3 戦略的投票
5.4 議事コントロール
5.5 議会規則と構造誘発的均衡
5.6 ルービンシュタインの交渉モデル
5.7 議会における交渉
5.8 なぜ後向き帰納法は直感に反する結果をもたらすのか
5.9 まとめ
5.10 文献案内
第6章 信念と完全ベイジアン均衡
6.1 ベイズの定理
6.2 バイアスのある情報に対する選好
6.3 完全ベイジアン均衡
6.4 核抑止
6.5 まとめ
6.6 文献案内
第7章 非協力ゲームにおける他の均衡:完全均衡と逐次均衡
7.1 弱被支配戦略の消去
7.2 完全均衡
7.3 逐次均衡
7.4 抑止と決意のシグナリング
7.5 「なぜ投票するのか?」再考
7.6 まとめ
7.7 文献案内
第8章 制限情報ゲームと信念に対する制約
8.1 シグナリング・ゲーム
8.2 議会内委員会の情報面での役割
8.3 不完備情報下の交渉
8.4 抑止と均衡外の信念
8.5 信念に対する制約の導入
8.6 「チープトーク」と調整
8.7 まとめ
8.8 文献案内
第9章 繰り返しゲーム
9.1 繰り返しについて考える:繰り返し囚人のジレンマ
9.2 フォーク定理
9.3 有限繰り返しゲーム:チェーンストア・パラドックス
9.4 定常性
9.5 業績評価投票と選挙での統制
9.6 まとめ
9.7 文献案内
第10章 結論:ここからどこに行くのか?
10.1 数理モデルはいかにして知識を豊かにするのか?
10.2 ゲーム理論の弱点
10.3 どのようにモデルを構築するか?
10.4 文献案内
補論1 基礎的な数学知識
A1.1 代数
A1.2 集合論
A1.3 関係と関数
A1.4 確率論
A1.5 極限
A1.6 微分学
A1.7 偏導関数とラグランジュ乗数
A1.8 積分学
A1.9 数学的証明の考え方
補論2 練習問題の解答
補論3 ゲーム理論の専門用語解説
監訳者あとがき
参考文献
索引
著者・訳者紹介
ジェイムズ・モロー[ジェイムズ モロー]
ジェイムズ・モロー(James D. Morrow)
1957年生まれ。1978年カリフォルニア工科大学数学科卒業, 1982年ロチェスター大学博士課程修了, Ph.D.(政治学). 1994年国際関係学会カール・ドイッチュ賞受賞, 2008-2009年国際平和科学協会会長, 2014年よりアメリカ芸術科学アカデミー会員. スタンフォード大学教授などを経て, 現在:ミシガン大学教授. 専門は国際関係論, 数理モデリング.
主著: Guide to the Scientific Study of International Processes (Wiley-Blackwell, 2012, co-editor), Order within Anarchy: The Laws of War as an International Institution (Cambridge University Press, 2014)など.
石黒 馨[イシグロ カオル]
石黒 馨(いしぐろ かおる)
1954年生まれ。神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了, 博士(経済学). 現在:神戸大学大学院経済学研究科教授. 専門は国際政治経済学.
主著:『入門・国際政治経済の分析――ゲーム理論で解くグローバル世界』(勁草書房, 2007年), 『インセ ンティブな国際政治学――戦争は合理的に選択される』(日本評論社, 2010年), 『国際経済学を学ぶ』(ミネルヴァ書房, 2012年)など.
内容説明
ゲーム理論ってどんな学問?どうすれば政治学に応用できる?高度な数学を使わずにていねいに説明する定番教科書!初めて学ぶ人のための数学解説と用語解説つき。
目次
第1章 概観
第2章 効用理論
第3章 ゲームの特定化
第4章 古典的ゲーム理論
第5章 展開形ゲームの解法:後向き帰納法と部分ゲーム完全性
第6章 信念と完全ベイジアン均衡
第7章 非協力ゲームにおける他の均衡:完全均衡と逐次均衡
第8章 制限情報ゲームと信念に対する制約
第9章 繰り返しゲーム
第10章 結論:ここからどこに行くのか?