内容説明
パラダイムシフトをもたらした名著をついに完訳。国と国との関係を決めるのは何か?政治家の手腕か?国家の体制か?国際政治のダイナミクスを科学的に考えぬき、国際システムの構造に光をあてる。
目次
第1章 法則と理論
第2章 還元主義的理論
第3章 体系的なアプローチと理論
第4章 還元主義的理論と体系的理論
第5章 政治構造
第6章 アナーキーという秩序と勢力均衡
第7章 構造的原因と経済的影響
第8章 構造的原因と軍事的影響
第9章 国際関係の管理
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シノウ
5
国際関係論のマイルストーン。 歴史から帰納的に得た知見を、「ユニット」と「システム」に分解して解説する。 「アナーキー」と「自助」が国際社会の原理原則である。他極よりも2極のほうが安定しやすいという論理に関しては、冷戦たけなわの理論であり、今では修正が必要なものに感じた。 もっとも、国同士のまとまり方や、大国を中心に据えて分析する必要があるなどの着眼は今でも色褪せることはないと思う。2021/07/22
鏡裕之
2
当時流行りの構造主義を、国際政治学にも採り入れてみました……という感じの一冊。ただし、半分くらいはウォルツの他人批判。正直、この人、面倒臭いと思う(笑)。2015/07/11
鏡裕之
2
理論とは何か、法則とは何か、という抽象的な議論から始めて、いかに今までや他の国際政治理論が理論になっていないかを、延々と語りまくる、著者ウォルツの独演会。正直、途中でげんなりです。読者的には、ええから早く、ツィミがどんなふうに国際政治に対して理論を組み立てているのか、説明せえやとどつきたくなります。読後は「こんな独演会が国際政治の古典?」という気分に。ミアシャイマーの『大国政治の悲劇』の方が100倍中身があって知的刺激があります。ウォルツの著作には知的イライラがあります。あまりお薦めはしません。2015/07/07
ワッキー提督
1
訳者あとがきや国際政治思想史・研究史で述べられる「ウォルツ以前/ウォルツ以後」の概念がなぜ重要なのかを理解させてくれる一冊。 難解な前半部は、「国際政治理論」や「社会科学としての国際政治学」について重要な示唆を丹念に読み込むことで得られると同時に、いかにそれらについて整理された理解・議論が難しいかを、ウォルツによる批評と彼の方法論に関する議論の精緻さ、難解さが提示してくれる。 この方法論的視点に強い関心を持つものとして、自身の進捗に応じて読み返したい。2017/02/17
Masayuki Shimura
1
[枠の話]はっきり言って前半部はとても難解でしたが、本書の重要部とも言える国際政治の構造に関する理論については、後の議論に大きな影響と反響をもたらしたこともあり、国際政治学に興味のある方にとっては読んでおいて損はないかと。著者が示した理論(それが決定的に正しいかどうかは誰にもわからないのではないかと邪推しますが)をいかに応用していくかというところに、本書の醍醐味があるような気がしました。2016/05/25