偽りの同盟―チャーチルとスターリンの間

偽りの同盟―チャーチルとスターリンの間

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 295,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326301249
  • NDC分類 209.74
  • Cコード C3031

出版社内容情報

徹底した一次史料の分析から,独ソ開戦時,英国の対ソ戦略はソ連の敗北を前提としていたことを明らかにし,ここから生じたソ連の対英不信が,戦後の冷戦起源の一因と考察する。

内容説明

「ソ連はドイツに敗北する」チャーチルはこう考えた。一次史料の徹底的渉猟から生まれた現代史の新視角。「国連タジキスタン監視団」の政務官として、停戦監視中に殉職した秋野豊(元筑波大学助教授)の遺稿。

目次

第1章 「偽りの同盟」への道―独ソ開戦に至る英ソ関係とチャーチルの対ソ援助声明
第2章 「敵の敵」同盟政策の確立―対ソ援助公約の不履行の決定1941年6、7月
第3章 陥落寸前の「敵の敵」への物資援助―モスクワ協定1941年8、9月
第4章 「偽りの同盟」関係の危機―モスクワ陥落の危機と対英不信の高まり1941年10月
第5章 「敵の敵」同盟政策の終局へ―東部戦線の流れの転換と英対ソ政策の混乱1941年11月
第6章 「敵の敵」同盟政策の政治的代価―「大同盟」の成立とイーデン訪ソ1941年12月

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

印度 洋一郎

3
著者はタジキスタンのPKO参加中に襲撃されて亡くなった国際政治学者。本人の死後に関係者が論文をまとめて上梓した。1941年6月の独ソ戦勃発から1941年12月のモスクワでの会談までの英ソ外交史を一次資料から読み解いている。早々と行ったソ連への連帯表明とは裏腹に、チャーチルを初めとする英首脳部はソ連を早晩崩壊すると見ており、ソ連側の執拗な支援要求にも応じようとしていない。それには元々イギリス各界の反共意識もあれば、独ソ不可侵条約を結んだソ連への不信感もあった。ここで生まれた相互不信は冷戦の遠因にもなる。2024/05/15

わび

2
1941年6月の独ソ開戦から12月のモスクワ会談に至るまでの約半年間の英ソ交渉史。独ソ戦の勃発に伴って「敵の敵」となった両国であるが、ソ連の早期崩壊を予想していたイギリスはチャーチルのレトリックとは裏腹に、軍事援助や政治的支援を行う余裕も意志も欠けており、そのことが戦後期にまでつながっていくソ連の対英不信感を増大させたと著者は主張する。本著では、流動的な前線での戦闘の展開が両国の立場や外交方針に直結する様が鮮やかに描かれており、通常の静的な外交交渉とは異なる、戦時外交のダイナミックさを味わうことができた。2019/04/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/236222
  • ご注意事項