出版社内容情報
新型コロナウィルスの世界的な流行は私達のコミュニケーションの様相を一変させた。顔と身体表現から時代や社会を考察する。
ウェブ会議やマスクをしての会話、密の回避など、私たちのリアルな顔や身体性はパンデミックによって大きく損なわれた。文化人類学・哲学・心理学をつなぐ人文社会学の領域として、異文化融合のための理解を目標として取り組んできた「顔・身体学」の研究者たちはそこに何を見出したか。現状の分析とコロナ後の明日を考える。
内容説明
本書で扱ったのは、コロナ下の分析からコロナ後を考えることまで多岐にわたるお話です。コロナ下の分析では、感染者数が減っても律儀な日本人が着用し続けるマスクの話です。また、マスクと比較する上での仮面文化や、オタク文化の視点からコロナについて考察することもできました。こうした現状の分析とともに、コロナ下の人々の心の問題として、人々の間に分断を生み出したことがあげられます。分断を乗り越え開かれた明日のために、対話を学ぶ場を設定してみました。これらすべては、顔と身体にかかわるものです。実在する顔や身体を扱う「顔・身体学」として、ポジティブにこれから先の世界を考えていきたいと思います。
目次
第1章 コロナ下でのコミュニケーションとポスト・コロナに向けた顔身体
第2章 マスクの心理学
第3章 オタク文化/カワイイ文化とその越境―ポスト・コロナ状況下のコミュニケーション論の視点から
第4章 分断の倫理学―ヌスバウムの感情の哲学を手がかりに
第5章 隠された身体・隠しえぬ身体性―「眼差し」によって触れることのできる世界とその変貌、そして可能性
第6章 バリ島のコメディ劇における「障害」のある身体を巡る遊戯
第7章 挨拶から紐解くコミュニケーションの距離感
第8章 対話によるコミュニケーション
著者等紹介
山口真美[ヤマグチマサミ]
中央大学文学部教授。お茶の水女子大学人間文化研究科博士後期単位取得退学。博士(人文科学)。専門は乳児の視知覚の発達
河野哲也[コウノテツヤ]
立教大学文学部教授。慶應義塾大学文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。専門は哲学、倫理学
床呂郁哉[トコロイクヤ]
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。博士(学術)。専門は文化人類学、東南アジア研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。