内容説明
「ふつう」はどこへいったのか。無差別殺傷事件や突然の自殺など、近年相次ぐ「ふつうの人」の豹変や逸脱。現代日本人に起こっている心の質的変化を解き明かす。
目次
第1章 心、このみえないもの
第2章 豹変する心
第3章 カオスの反転模様
第4章 「内なる他者」の反乱
第5章 精神科のカルテより
第6章 時代背景と精神疾感
第7章 疾患概念を再考する
第8章 自明性なき時代
第9章 科学主義という幻想
終章 「心の豹変」から「漂流する心」へ
著者等紹介
大饗広之[オオアエヒロユキ]
1956年広島市に生まれる。1981年広島大学医学部卒業。静岡県立病院養心荘(こころの医療センター)、大垣市民病院精神神経科、名古屋大学医学部附属病院精神科講師を経て現職、日本福祉大学子ども発達学部心理臨床学科教授。医学博士。専門は精神医学、精神病理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポカホンタス
6
<中心の喪失>がテーマであるようなので読んでみた。解離やアスペルガーが増えてきたのは、時代的な<中心の喪失>の現れであり、現代は「中心という秩序が失われている」という指摘。著者は<中心という大きな物語>の喪失を嘆く側に立場を取る。論の立て方も大がかり。その立場では、多元的で<小さな物語>が乱立する世界をうまく掬いとれないのではないか。2011/01/09
ぽんぽこ
3
読みやすいのに難解で読むのに時間がかかりました。普通の人に見えても中身まで普通の人とは限らない。アスペルガー=犯罪者なんてことは関係があるとは分からない。というより心の病は客観的に数値化できるものではない。じゃあ将来は数値化できるようになるのか?そもそも相手の心の存在を証明できるのか?と読めば読むほど坩堝にハマって頭がめっちゃくちゃになってしまいました。2025/04/13
けけけ
0
心について語れるのは当人だけ、ってのに集約されるのかなぁ。都合の良い病名で無理矢理括ってきたこれまでがおかしいのかもしれない。実例を交えつつ、わからないものを丁寧に読み取ろうとする感じで中々面白かった。2011/05/08