出版社内容情報
教育問題の噴出する今日、「教師のカ量」がますます問われている。実在する教師のライフヒストリーを追う中で、教師の専門的カ量の形成過程を具体的に記述する。
初任・中堅・管理職等、7人の教師の実態を時間軸(ライフステージ)に沿って詳細に捉え、教師はどのように教育的力量を形成し教師として成長していくのか、その筋道を明らかにしていく。また教師の専門的力量の形成と学校文化との関連について検討するとともに、イギリス・アメリカの実例との比較から、日本の今後の課題を考察する。
[関連書] 同編者 『学びのためのカリキュラム論』(勁草書房刊)
序 章 現代教師論の論点
──学校教師の自律的な力量形成を中心に………………藤原 顕
一 はじめに
二 教師の自律的な力量形成の現実
三 教師の力量形成に影響を与える学校文化
四 教師の力量形成をめぐる制度的要因
五 結び――本書のねらい
第Ⅰ部 教師の力量形成とその契機
第一章 初任教師の抱える心配と力量形成の契機………………木原 成一郎
一 はじめに
二 初任教師の力量形成の契機をどのように捉えるか
三 初任一年目の心配と授業観察の開始
四 「授業ルーチン」の変化
五 「予想外の子どもへの対応」の場面
六 おわりに
第二章 初任期国語科教師の力量形成の過程
──進学校の学校文化相対化を契機として………………松崎 正治
一 はじめに
二 どのように研究を進めたか
三 初任期の五年間の荻原実践の時期区分と概要
四 教師になるまで
五 初任期の実践
六 おわりに
第三章 同僚とともに育つ中学校教師…………………………………荒木 寿友
一 はじめに
二 教師になるまで
三 教師としての生活
四 学校文化としての「同僚性」
五 おわりに――それでも教師を辞めない
第四章 教師のキャリア形成の選択肢としての「管理職」
――校長を中心に…………山崎 雄介
一 はじめに
二 校長職をめぐる状況
三 民間人校長をめぐる明暗
――「経営力量」「強力なリーダーシップ」は改革の切り札か
四 教師としての実践力量と校長の力量
五 おわりに
第Ⅱ部 学校文化と教師の力量形成
第五章 子どもの育ちを語り合う学校で教師が育つということ………吉永(岩﨑)紀子
一 はじめに――教師の力量形成過程へのライフヒストリー的アプローチ
二 子どもの育ちを語り合う学校文化との出会い
――芳山小学校の事例をもとに
三 むすびにかえて
第六章 教師の力量としての授業スタイルとその形成……………森脇 健夫
一 教師の授業スタイルとライフヒストリー研究
二 小幡肇の授業スタイルとその形成と変容
三 授業スタイル研究の新たな展開――学校文化の中の授業スタイル
四 おわりに
第七章 非IRE型の教室会話における教師の役割
──エンパワメントとしての授業………………松下 佳代
一 教室会話の特殊性と権力性をこえて
二 非IRE型会話による授業
三 非IRE型会話における教師の役割
四 エンパワメントとしての授業
第Ⅲ部 教師の力量形成にかかわる諸制度
第八章 イギリスにおける学力向上政策下での教師の力量形成…………鋒山 泰弘
一 はじめに
二 小学校教員養成テキストにみる教師の力量形成
三 形成的評価の具体化と教師の力量形成
四 おわりに
第九章 米国の教員養成プログラムと教育実習からみた教師の力量………岸本 実
一 はじめに
二 ミシガン州立大学の教員養成プログラム
三 四年生の社会科教育法の授業とインターンの社会科の主導授業
四 インターンシップの一年間
五 インターンの評価とポートフォリオ
六 おわりに
事項索引
人名索引
内容説明
ライフヒストリー・アプローチ、アクション・リサーチを通して教師の“学び”=力量形成の現実を捉えつつ、教師が自律的に力量を形成していく方途を探る。
目次
現代教師論の論点―学校教師の自律的な力量形成を中心に
第1部 教師の力量形成とその契機(初任教師の抱える心配と力量形成の契機;初任期国語科教師の力量形成の過程―進学校の学校文化相対化を契機として;同僚とともに育つ中学校教師;教師のキャリア形成の選択肢としての「管理職」―校長を中心に)
第2部 学校文化と教師の力量形成(子どもの育ちを語り合う学校で教師が育つということ;教師の力量としての授業スタイルとその形成;非IRE型の教室会話における教師の役割―エンパワメントとしての授業)
第3部 教師の力量形成にかかわる諸制度(イギリスにおける学力向上政策下での教師の力量形成;米国の教員養成プログラムと教育実習からみた教師の力量)