出版社内容情報
複合的なアーキテクチャとしての都市は、どのような思想とかかわっているのか。また、人間形成の空間としての学校は、いかに〈教育的保護〉の問題と連関しているのか。空間構成に関する思想と実践の間に、保護文化が抱えるパラドックスを読み解きつつ、それを超えていく論理を探究することにより、「教育空間」のあり方を再検討する。
内容説明
都市空間に内在する思惟性とは何か。“人間が生み出す構造的なるもの”としてのアーキテクチャはいかに教育の意味世界とかかわっているのかを探究する。
目次
序論 教育にとってアーキテクチャとは何か
第1章 複眼の都市思想―ジンメルによる都市と人間形成
第2章 都市が教育する―「ハウス化」する社会と人間形成
コメニウス庭園雑感―あるいはドイツにおける教育空間論
第3章 都市を批判する都市―田園都市という「自由空間」と文化批判
田園都市ヘレラウと日本
第4章 「学校共同体」に穴を穿つ―アジール論からみた新教育
規律訓練論の先を思い描く
第5章 文化のアイロニーに装飾が挑む―芸術家フンデルトヴァッサーの建築思想
著者等紹介
山名淳[ヤマナジュン]
1963年生まれ。1991年広島大学大学院教育研究科博士課程後期退学。現在、京都大学大学院教育学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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有智 麻耶
1
何やら面白そうなテーマがあるぞと、題名に惹かれて読んだ。都市論については、ジンメルを経由して再読したいところ。後半二章は面白かった。アジールといじめの関係については、考える余地が残されており、他の研究が期待される。結局、<教育的保護>が何を指していたのかが読み取れなかったのが残念。2016/02/05
ラッシー
0
特にアジールについては関心のある議論だったこともあり興味深い。学校の持つパノプティコン的機能はかなり頻繁に指摘されるが、昇降口や運動場にもそれを見出す議論は初耳だった。最近はアーキテクチャやアフォーダンスといった、元は他領域の概念が輸入されてる潮流がありますね。ジンメルやヘンスラーあたりを読んで再読したいところ。2018/08/23