出版社内容情報
ホリスティック教育の課題の「全体性」及び「聖なるもの」と正面から向き合い、それを練り上げ再定義する試み。人間形成における「関係性」を論じる際の基本文献。
ブーバーの対話的全体観は、向かい合う二人ずつの対話的関係の中に、全体性の生起をみる。「対話」を通した「人間形成」を、あえて意志してその責を自らに課すのが「教育」である。<他者>としての被教育者と対話する教育者がいかに<全体としての人間>へと形成されるかという、ブーバーの対話的人間形成論の深淵に迫る思索。
[関連書] 同著者 『ホリスティック教育論』(日本評論社)
はしがき
序 章 ホリスティック教育からブーバーへの問いかけ
第Ⅰ部 「聖なるもの」とブーバーの対話論
――他者に応答する対話の深層
第一章 聖なるものへの狭き尾根道
――近代合理主義と伝統宗教の狭間で
1 現代の思想状況とブーバーの「狭き尾根道」
2 ホリスティック教育論における「聖なるもの」
3 「〈自己〉実現」論から「魂への配慮」論へ――J・ミラーの場合
4 「知性的な信仰者」とスピリチュアリティ――N・ノディングスの場合
5 他者との対話の聖なる深みへ――M・ブーバーの場合
第二章 出会いと対話の聖なる深み
――〈世界〉の語る言葉への応答
1 他者との出会い――現在する〈世界〉の開示
2 出会いから対話へ――沈黙の深みで聴かれる言葉
3 応答する対話――〈間〉に生成する言葉への応答
4 出会いと対話の深層――聖なる言葉への応答
第三章 〈我―汝〉と〈我―それ〉の二重性
――人間存在の高貴な悲劇
1 人間の世界への関係の根本的二重性
2 〈我―それ〉関係の定義
3 〈我―汝〉関係の定義
4 二重的関係性の相補的意義
第四章 汝への呼びかけと応答
――神秘主義から日常のなかの対話へ
1 宗教性への微妙なスタンス
2 〈我―汝〉関係への批判と「対話」概念
3 神秘主義から「日常のなかの対話」へ
4 語りかけ、応答する対話の聖なる深み
第Ⅱ部 「全体性」とブーバーの人間形成論
――〈全体としての人間〉の対話的形成
第五章 全体性への第三の道
――個人主義と全体主義、そして対話的全体観
1 一九世紀「生の哲学」に連なる教育学の系譜
2 「全体観の教育」と全体主義
3 全体主義を回避するブーバーの「全体性」
4 第三の立場──「二人ずつ存在」による対話的全体観
第六章 〈全体としての人間〉の対話的実現
――他者との間の距離と関わり
1 〈向かい合う二人〉の距離と関わり
2 他者の他者性を介した全体性
3 「間の場」の展開としての対話
4 〈向かい合う二人〉の対話的人間形成論へ
第七章 対話的な援助関係の特質
――非対称な応答責任と形成力の確証
1 「自由派」と「強制派」に対するブーバーの異議
2 援助的関係の非対称な現実
3 「受容」から「潜在力の確証」へ
4 人間形成の方向を確証する対話
第八章 対話的人間形成論の要諦
――〈世界〉の形成力と教育者の要件
1 形成力を確証する「全体性の感受」
2 人間形成の主体としての〈世界〉
3 出会いへ向けて応答する意志
4 〈世界〉に対する応答的責任の自覚
5 人間形成論としてのブーバー対話論
結 章 ブーバー対話論のホリスティック教育への寄与
あとがき
参考文献
内容説明
教育関係論の基本テキスト!「全体性」と「聖なるもの」に正面から向き合い、ロマン主義を踏み越えてブーバーによる出会いと対話の人間形成論の深層に迫る。
目次
ホリスティック教育からブーバーへの問いかけ
第1部 「聖なるもの」とブーバーの対話論―他者に応答する対話の深層(聖なるものへの狭き尾根道―近代合理主義と伝統宗教の狭間で;出会いと対話の聖なる深み―「世界」の語る言葉への応答;「我‐汝」と「我‐それ」の二重性―人間存在の高貴な悲劇;汝への呼びかけと応答―神秘主義から日常のなかの対話へ)
第2部 「全体性」とブーバーの人間形成論―「全体としての人間」の対話的形成(全体性への第三の道―個人主義と全体主義、そして対話的全体観;「全体としての人間」の対話的実現―他者との間の距離と関わり;対話的な援助関係の特質―非対称な応答責任と形成力の確証;対話的人間形成論の要諦―「世界」の形成力と教育者の要件)
ブーバー対話論のホリスティック教育への寄与
著者等紹介
吉田敦彦[ヨシダアツヒコ]
1960年大阪府に生まれる。1988年京都大学大学院教育学研究科博士後期課程単位認定退学。2006年京都大学論文博士(教育学)。大阪府立大学人間社会学部教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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昌也




