出版社内容情報
教育とは「文化的記憶」との接触により生じる学びを意図的に促す試みでもある。教育哲学や文学から記憶/想起について様々に論じる。
記憶(憶えとどめておく能力とそのための仕組み)と想起(特定の内容を再び呼び起こす動的な過程)は、教育および人間形成とどうかかわるのか。この問いに対し、教育哲学を足場として多様な視角から検討する。人間形成に関する学問と記憶の関係、書くことや記憶継承をめぐる問題について論じつつ、〈記憶の教育学〉モデルを構想する。
内容説明
記憶(憶えとどめておく能力およびそのための仕組み)と想起(特定の内容を再び呼び起こす動的な過程)は教育および人間形成とどのようにかかわるか。
目次
第1章 記憶・想起と人間形成
第2章 教育における「記憶」の意味転換―実験心理学的記憶研究の教育論への導入をめぐって
第3章 「当事者」について記憶の観点から考える―当事者研究と現象学的質的研究を手がかりに
第4章 ハンブルクの「ゲニウス・ロキ」を想起する―アビ・ヴァールブルク「文化科学図書館」をめぐるビルドゥング・トポグラフィ
第5章 社会的記憶と個人的記憶の汽水域としての自伝―ルソーにおける抗いのエクリチュール
第6章 誰が記憶を語りうるのか―文学研究の観点から記憶叙述の「当事者性」を検証する
第7章 記憶の継承をめぐる共同性と公共性の関係―H・アレントにおける「語り口」の問題をてがかりに
第8章 「身ぶりとしての抵抗」の習慣形成―鶴見俊輔の戦争体験と反射の自己教育
第9章 記憶の継承とはどのような行為か―ジークフリート・クラカウアーにおける批判的リアリズムを参照して
第10章 (記憶の教育学)モデルを構想する―比喩としての記憶と教育に関する試論
著者等紹介
山名淳[ヤマナジュン]
広島大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。現在:東京大学大学院教育学研究科・情報学環教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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