出版社内容情報
教育は福祉との関係においてどのようなものであるか。近代日本における子ども福祉施設の指導者の教育思想の展開を辿りつつ検討する。
日本では明治期以降、育児院や養育院、孤児院、感化院といった、子どもに特別な養育をする福祉施設が創出された。本書は、近代日本の子ども福祉施設と教育思想の展開に着目し、孤児救済と貧困家族保護の問題に積極的に取り組んだ3人の民間事業家の思想と実践を分析する。さらには福祉と公教育の関係と役割を根本的に問い直していく。
内容説明
公教育と福祉の関係/役割をとらえ直すために。近代日本において、子ども福祉施設と研究の開拓に尽力した三人の民間事業家の系譜を辿り、その教育思想と実践の意義をアリエス以後の社会史研究の観点から明らかにする。
目次
序章 子ども福祉施設指導者の教育思想―課題と方法
第1章 石井十次の家族観と岡山孤児院での養育―子ども救済事業から子ども保護事業への展開
第2章 石井十次の国民教育思想と岡山孤児院での教育―天皇賛美とキリスト教信仰の共存
補論1 石井十次の憲法構想と茶臼原移転―孤児院から新教育とユートピアへ
第3章 冨田象吉の育児事業論と救済事業研究会―孤児院と保育所の関係変容
第4章 冨田象吉の社会政策論と愛染橋夜間小学校の活動―不就学への対応と公立小学校普及
第5章 冨田象吉の子ども救護論と戦間期における保育所法令化論争―都市貧困地域と鉱業地域における幼児教育と子どもの労働保護
第6章 高田慎吾の子ども問題研究と大原社会問題研究所―子ども救護の「社会化」論における教育と栄養、自己修養
補論2 子ども福祉施設とアナーキズムの接点
終章 教育と福祉のとらえ直し
著者等紹介
稲井智義[イナイトモヨシ]
1987年東京都生まれ。現在、北海道教育大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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