共感の社会神経科学

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共感の社会神経科学

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  • サイズ A5判/ページ数 334p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326251179
  • NDC分類 141.6
  • Cコード C3011

出版社内容情報

日常的な対人関係のみならず、心理臨床実践においても重要な概念である「共感」をめぐる最先端の知見を、多彩な分野の専門家が解説。共感をめぐる研究は、脳画像研究の進展により、近年になって爆発的な広がりを見せている。本書は社会神経科学という新たなアプローチにより、社会心理学や認知感情神経科学、さらには、進化生物学から、ロジャーズ派の心理臨床にいたるまで、様々な分野にわたる共感研究を統合し、その機能や進化的/解剖学的起源を明らかにする。

イントロダクション



第1部 共感とは何か



第1章 共感とよばれる8つの現象[チャールズ・ダニエル・バトソン]

 1.共感を答えとする2つの異なる質問

 2.共感という用語の8通りの使い方

 3.含意

 4.結論



第2部 共感に関する社会的,認知的,発達的視点



第2章 情動感染と共感[エレイン・ハットフィールド,リチャード・L・ラプソン,イェン・チ・L・リー]

 1.情動感染のメカニズム

 2.既存の研究に関する含意

 3.問題提起



第3章 模倣されることの効果[リック・B・フォン・バーレン,ジャン・デセティ,アプ・ダイクスターハイス,アンドリース・フォン・デア・レイユ,マータイス・L・フォン・レーウン]

 1.翻訳のなかで失われた共感

 2.模倣の自動性

 3.模倣と共感

 4.模倣されることによる向社会的効果

 5.認知スタイル

 6.模倣されることの社会神経科学

 7.結論



第4章 共感と知識の投影[レイモンド・S・ニッカーソン,スーザン・F・バトラー,マイケル・カーリン]

 1.相手が何を知っているかを判断する必要性

 2.反射:逆方向の投影

 3.投影に関する証拠

 4.投影に関する統計学的な論拠

 5.コミュニケーションにおける共通基盤の仮定

 6.投影も失敗する可能性がある

 7.投影の限界

 8.共感の自然さ



第5章 共感精度[ウィリアム・アイクス]

 1.定義

 2.測定方法と選択可能な研究パラダイム

 3.臨床心理学

 4.認知心理学

 5.発達心理学

 6.社会心理学

 7.生理心理学

 8.共感精度研究の魅力と統合の可能性

 9.結論





第6章 共感的反応:同情と個人的苦悩[ナンシー・アイゼンバーグ,ナタリー・D・エッガム]

 1.共感に関連した反応

 2.エフォートフルな(努力を要する)自己制御プロセス

 3.エフォートフル・コントロール,自己制御,そして共感的反応

 4.発達に関する諸問題

 5.苦痛・共感・制御・愛着

 6.結論



第7章 共感と教育[ノーマ・ディーチ・フェッシュバック,セイモア・フェッシュバック]

 1.共感の諸機能

 2.教師のための共感性の訓練

 3.生徒達の共感性を育む

 4.結論,そして将来の方向性

 付録



第3部 共感に関する臨床的視点



第8章 ロジャーズ派の共感[ジェロルド・D・ボザース]

 1.クライエント中心療法の理論

 2.実現傾向に関する有機的な影響

 3.クライエント中心療法における共感

 4.クライエントとセラピストの有機的体験過程とロジャーズ派の共感との関係

 5.臨床のシナリオ

 6.考察



第9章 心理療法における共感:対話的・身体的な理解[マティアス・デカイザー,ロバート・エリオット,ミア・レイスン]

 1.共感のサイクルと身体化された共感

 2.クライエントの共感的共鳴

 3.セラピストの共感的調律

 4.結論



第10章 共感的共鳴:神経科学的展望[ジーン・C・ワトソン,レズリー・S・グリーンバーグ]

 1.共感と神経科学

 2.セラピストの共感能力を向上させる方法

 3.共感を調節する諸要因

 4.結論



第11章 共感と道徳と社会的慣習:サイコパスやその他の精神障害からの証拠[R・J・R・ブレア,カリナ・S・ブレア]

 1.共感の定義

 2.道徳性と社会的慣習

 3.情動的共感と道徳的および慣習的推論

 4.認知的共感と道徳的および慣習的推論

 5.宥和表示に対する共感的反応

 6.結論



第12章 他者の苦痛を知覚する:共感の役割に関する実験的・臨床的証拠[リーズベット・グーベルト,ケネス・D・クレイグ,アン・バイス]

 1.定義に関する問題

 2.正確な共感の効用と限界

 3.苦痛に共感する成人の能力に関するモデル

 4.結論



第4部 共感に関する進化的視点および神経科学的視点



第13章 共感に関する神経学的および進化的視点[C・スー・カーター,ジェームズ・ハリス,スティーヴン・W・ポージェス]

 1.進化する自律的・社会的神経系

 2.共感と哺乳動物における社会的気づきの進化

 3.社会性の神経内分泌的基盤

 4.高度に社会的な哺乳動物と向社会的行動の分析

 5.要約と予測



第14章 「鏡よ,鏡,心の中の鏡よ」:共感と対人能力とミラー・ニューロン・システム[ジェニファー・H・ファイファー,ミレーラ・ダープレトー]

 1.共感に関する定義の問題

 2.共感の神経基盤

 3.ミラー・ニューロン・システムと情動理解

 4.ミラー・ニューロン・システムと共感

 5.ミラー・ニューロン・システムと対人能力

 6.結論,そして将来への方向性



第15章 共感と個人的苦悩:神経科学からの最新の証拠[ジャン・デセティ,クラウス・ラム]

 1.自己と他者の間の共有された神経回路

 2.視点取得,自他の区別,そして共感

 3.共感的反応の調節

 4.結論



第16章 共感的処理:認知的次元・感情的次元と神経解剖学的基礎[シモーヌ・G・シャマイ=ツーリィ]

 1.認知的共感と感情的共感

 2.共感の神経解剖学的基礎:前頭葉の役割

 3.前頭前皮質の損傷による共感能力の障害

 4.心の理論と認知的共感の関係

 5.共感における前頭前皮質の役割に関するさらなる証拠:神経変性および精神医学的疾患をもつ患者を対象とした研究

 6.認知的および感情的な共感反応のための神経ネットワーク

 7.結論



訳者あとがき

執筆者一覧

人名索引

用語(和文)索引

用語(欧文)索引



ジャン・デセティ[ジャン デセティ]
ジャン・デセティ(シカゴ大学心理学部教授)

ウィリアム・アイクス[ウィリアム アイクス]
ウィリアム・アイクス(テキサス大学アーリントン校心理学部教授)

岡田 顕宏[オカダ アキヒロ]
岡田 顕宏(おかだ あきひろ) 1970年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(行動科学)。札幌国際大学人文学部心理学科教授。専門は認知心理学, 感情心理学, 臨床心理学。

内容説明

他者の思考や感情を我々はどうやって知るのか。他者への思いやりはどうやって生まれるのか。

目次

第1部 共感とは何か(共感とよばれる8つの現象)
第2部 共感に関する社会的、認知的、発達的視点(情動感染と共感;模倣されることの効果)
第3部 共感に関する臨床的視点(ロジャーズ派の共感;心理療法における共感:対話的・身体的な理解;共感と知識の投影;共感精度;共感的反応:同情と個人的苦悩;共感と教育;共感的共鳴:神経科学的展望;共感と道徳と社会的慣習:サイコパスやその他の精神障害からの証拠;他者の苦痛を知覚する:共感の役割に関する実験的・臨床的証拠)
第4部 共感に関する進化的視点および神経科学的視点(共感に関する神経学的および進化的視点;「鏡よ、鏡、心の中の鏡よ」:共感と対人能力とミラー・ニューロン・システム;共感と個人的苦悩:神経科学からの最新の証拠;共感的処理:認知的次元・感情的次元と神経解剖学的基礎)

著者等紹介

岡田顕宏[オカダアキヒロ]
1970年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(行動科学)。札幌国際大学人文学部心理学科教授。専門は認知心理学、感情心理学、臨床心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みき

6
ロジャーズは向社会的行為に求められる「共感」を、ほぼ直感的な洞察で述べており、しかもそれの裏付けが新たにミラーニューロンの発見をはじめとする脳神経科学によりされてきている。共感する、とひとことに言うときに生じる様々な意味合いについても、意図的に述べるのに役立つ本だった。2019/09/10

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