内容説明
月の錯視をめぐるミステリー。なぜ月は、空高くあるときよりも、地平線上にあるときに大きく見えるのか。その謎に迫る。
目次
天体錯視
月と太陽の実際の大きさ
知覚された大きさ
月の錯視の測定
大気の屈折
空気遠近
観察者の目の中で
天の丸天井
近くにありながら遠い
月を拡大する
注視角
平衡の問題
結論と謎
著者等紹介
ロス,ヘレン[ロス,ヘレン] [Ross,Helen E.]
スターリング大学心理学部名誉准教授(Honorary Reader)
プラグ,コーネリス[プラグ,コーネリス] [Plug,Cornelis]
南アフリカ大学心理学部名誉教授(Emeritus Professor)
東山篤規[ヒガシヤマアツキ]
1951年生まれ。文学博士(大阪市立大学、1983年)。立命館大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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maqiso
1
水平方向の月が大きく見える現象へのこれまでになされてきた仮説を1つずつ検討している。明るさの対比や姿勢によっても錯覚が起きるようなの面白い。単純な要因でなさそうなのと、度合の測定が難しいのは分かるが、説明が詳細で難しい。2019/06/06
中澤武
1
地平線から昇ったばかりの月が大きく見える現象については、少なくとも2300年以上も前から様々な説明理論が存在する。たとえば、古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、地上に近い大気の層が月の錯視の原因だと考えていた。現代まで、月の錯視は、天文学、光学、物理学、心理学、哲学などの様々な学問分野で研究されてきたが、驚くべきことに、現在も、月の錯視を完全に説明できる理論は見出されていない。最も身近な天体について、私たちは、まだまだ全てを理解できているわけではないのだ。2015/05/15
オブ犬
1
地平線に近い月が上空にある時よりも大きく見えるという、おそらくほとんどの人が実体験しているであろう錯視について厳密に原因を探り出そうとする1冊。非常に身近な錯視なので興味を引かれるが、論考は淡々とストイックに様々な可能性を検証しており、面白味は薄いかも。「角度的大きさ」あたりが理解が難しくあまり内容は分からなかったが、これだけ長い歴史と多くの人が関わっているというのには驚いた。ハッキリとした結論ではないが、それなりの答えも出している。2015/03/13