内容説明
学習意欲を支えるものは何なのか。日韓比較を通して、日本の青少年教育の特徴を明らかにすると共に教育再生の現実的な道を提示する。
目次
変容する社会と青少年の社会化
第1部 教育と政策(青少年政策の日韓比較―教育から雇用への移行過程をめぐって;子どもの成績と親のサポート;家族ぐるみの学歴競争―家庭環境に左右される進学意欲)
第2部 日常(青少年のジェンダー意識と教育アスピレーション;居場所を求める若者/受験競争する若者―インタビュー調査にみる日韓の学校生活と友人関係;日韓青少年の学校生活を支える要因―学業・学習観と生活のあり方を手がかりに)
研究の総括と課題
著者等紹介
渡辺秀樹[ワタナベヒデキ]
1948年生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学文学部教授
金鉉哲[キムヒョンチョル]
1964年生まれ。延世大学大学院教育学専攻修士課程修了。教育学博士。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、韓国青少年政策研究院研究委員
松田茂樹[マツダシゲキ]
1970年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。博士(社会学)。現在、中京大学現代社会学部教授
竹ノ下弘久[タケノシタヒロヒサ]
1971年生まれ。慶応義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。修士(社会学)。現在、上智大学総合人間科学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いよ
7
大学図書館で借りる。レポート課題のために借りて、ざっと目を通した。他国の学生との勉強姿勢の比較ではあるが、自国の教育についての課題点にも気付けるので、たまにはこういう本もありだな、と思う。友人関係の希薄さは、好きなものに籠って周りを見ないことに繋がるのではと思う。よくするためには波風がたったとしても、行動する以外で変えられないのが、人間社会ではないだろうか。自分は関係ない、が浸透したからこそ、今の世の中が出来上がっているのかもしれない。若い世代も今一度、こういうことについて面倒でも考え直すべきなのだろう。2017/01/07
ブルーツ・リー
4
日本と韓国の学校事情を比較した書。 韓国では、日本よりも学問を重視し、「学校とは、勉強を教わる場所だ」という意識が強く、日本では、勉強が余りできない人にとっては、部活動や、友達との交流の場になっているという事で、このタイトルは、「勉強」を重視する韓国と、「居場所」を重視する日本を表しているそう。 儒教圏である事もあって、家族主義だったり、学問を重視する国同士であったり、似た者同士、という感があるが、細かい所を比較していくと、規律や場の雰囲気を重視する日本と、徹底した学問を貫く韓国と、それぞれ個性が見える。2022/08/04
鵜殿篤
0
極めて有意義な本だと思った。数字にから結論を導き出すことの意義がよく分かる研究だ。データに対して謙虚で、都合の良い無理な結論を引き出していないのも好印象だった。力作だと思う。勉強になった。 韓国の教育事情や若者の置かれた立場についてもたいへん勉強になったが、やはり日本の若者の意識に関しては、私自身が日常的に学生たちと触れていることもあって、いろいろ思うところがある。価値が多元化して、意識が「コンサマトリー化」したというのは、私の実感としても、ある。2019/08/17