出版社内容情報
敗戦への近代外交史を検討し、三つの思いこみが大きく作用していたと主張。長い外交官の経験から国際関係の中での日本のあり方を見つめる。
思いこみの第一はルーズベルト米大統領の日本敵視政策、第二は日本国民の思いこみ、第三は有色人種蔑視観に基づく欧米人の思いこみである。このうち第一のルーズベルトの独善的思考が決定的要因だとして、日本外交とのかかわりを丹念に追う。歴史の教訓に学びつつ現在を的確にとらえるために。
関連書:同著者『<思いこみ>の世界史』(小社刊)
第Ⅰ部 三つの<思いこみ>
──決定的要因はルーズベルト大統領の執念──
第一章 大日本帝国破滅の道程
──<列強への仲間入り志向>が破局を招いた──
1 日露戦争を境とする日本外交の変質──
2 満州事変から敗戦に至る日本外交の軌跡
3 西洋文明に向けられた日本人の関心と基本的外交理念の欠如
4 圧殺された正論
第二章 日本国民の<思いこみ>
1 マインド・コントロールにかかった日本人
──軍国教育とマスコミの宣伝──
2 熱烈な愛国心とアジア解放への思い
──<思いこみ>のポジティブな側面──
3 優越意識が生んだ傲慢な日本人
──<思いこみ>のネガティブな側面──
第三章 有色人種蔑視に根ざした欧米人の思考形態
1 白人優越意識の由来
2 日本を戦争に引きずりこんだルーズベルト大統領の<思いこみ>
3 東京裁判の実態
──戦勝国が演じた「正当性御披露目興行」──
第Ⅱ部 転落の歴史の今日的意味
第四章 対外姿勢の基本
1 対米追随一辺倒からの脱却
2 西洋志向の体質から脱皮してアジアに軸足を据える
3 靖国神社問題と日中関係
4 日本の国際的役割
第五章 日本のアイデンティティー
1 アイデンティティーとは
2 アイデンティティーの二つの側面
3 ソフト・パワーの時代
──愛国心が育む文化の基層──
第六章 歴史の歩みを逆戻りさせてはならない
1 西洋的価値観至上主義の独善
2 「国のありよう」と国際社会の関与
3 異文化の接触と文明の歩み
付録 『日本外交の過誤』
あとがき
内容説明
東京裁判への違和と西欧的価値観至上主義への批判をベースに、日本の外交姿勢や国民意識のあり方について、歴史の教訓に学ぶ。
目次
第1部 三つの“思いこみ”―決定的要因はルーズベルト大統領の執念(大日本帝国破滅の道程―“列強への仲間入り志向”が破局を招いた;日本国民の“思い込み”;有色人種蔑視に根ざした欧米人の思考形態)
第2部 転落の歴史の今日的意味(対外姿勢の基本;日本のアイデンティティー;歴史の歩みを逆戻りさせてはならない)
付録 『日本外交の過誤』
著者等紹介
山口洋一[ヤマグチヨウイチ]
1937年生まれ。本籍佐賀県。1960年東京大学教養学部教養学科(フランス分科)卒業。1960年~外務省入省。本省では経済局、アジア局、調査部、情報文化局勤務。海外ではフランス、南ベトナム、イタリア、インドネシア各大使館勤務を経て、1981年~ユネスコ常駐代表、駐マダガスカル特命全権大使、駐トルコ特命全権大使、駐ミャンマー特命全権大使などを歴任。1998年外務省退官。現在、特定非営利活動法人(NPO)アジア母子福祉協会理事長
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