出版社内容情報
8世紀後半からアッバース朝の新都バグダードで生じた翻訳運動は、公私両面からの膨大な資金援助を基に社会の全エリートによって支援され、2世紀以上もの間継続した。また、それは初期アッバース朝社会の社会観や大衆文化を反映した計画に基づき、学問的方法論と文献学的正確さをもって行なわれた。これらすべての理由から、この翻訳運動が、初期アッバース朝の社会構造と一貫したイデオロギーとを反映した社会の需要と風潮によって、長きにわたって生み出され、継続されたということは明らかである。本書は、社会的・イデオロギー的要因からこの事実を検証し、西欧の12世紀ルネサンスや本来のルネサンスにも匹敵する歴史的事実を鮮やかに描いている。
序章 社会的・歴史的現象としてのギリシア語からアラビア語への翻訳運動
第Ⅰ部 翻訳と帝国
第1章 翻訳運動の背景──資料的・人的・文化的資源──
第2章 マンスール──初期アッバース朝の帝国イデオロギーと翻訳運動──
第3章 マフディーと息子たち──社会的・宗教的講話と翻訳運動
第4章 マームーン──国内外の政策と翻訳運動
第Ⅱ部 翻訳と社会
第5章 応用知識と理論的知識に役立つ翻訳
第6章 保護者、翻訳者、翻訳物
第7章 翻訳と歴史──翻訳運動の成果──
結び
付録 アラビア語訳されたギリシア語の著作──分野別の文献手引き──
参考文献と略語
イスラーム文明における翻訳運動の意義を論じた研究文献(年代順)
訳者あとがき
人名索引
事項索引
内容説明
8世紀からのアラビア・ルネサンス。アッバース朝はギリシアの科学・哲学をなぜ、どのようにしてアラビア世界に導入したのか。社会的・イデオロギー的要因から解明する。
目次
社会的・歴史的現象としてのギリシア語からアラビア語への翻訳運動
第1部 翻訳と帝国(翻訳運動の背景―資料的・人的・文化的資源;マンスール―初期アッバース朝の帝国イデオロギーと翻訳運動;マフディーと息子たち―社会的・宗教的講話と翻訳運動;マームーン―国内外の政策と翻訳運動)
第2部 翻訳と社会(応用知識と理論的知識に役立つ翻訳;保護者、翻訳者、翻訳物;翻訳と歴史―翻訳運動の成果)
付録 アラビア語訳されたギリシア語の著作―分野別の分献手引き
著者等紹介
グタス,ディミトリ[グタス,ディミトリ][Gutas,Dimitri]
1945年カイロ生まれ。1974年イェール大学Ph.D(古典学およびアラビア・イスラーム学)。現在、イェール大学中東言語・文明学科教授
山本啓二[ヤマモトケイジ]
1953年長野県生まれ。1983年京都産業大学大学院外国語学研究科修士課程修了。現在、京都産業大学文化学部助教授
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