内容説明
人間のコミュニケーションは指さしと物まねからはじまった。人間の子どもと大型類人猿の比較から明らかになるその進化的起源。
目次
第1章 基盤構造に焦点をあてて
第2章 霊長類の志向的なコミュニケーション
第3章 人間の協力に基づくコミュニケーション
第4章 団体発生的起源
第5章 系統発生的起源
第6章 文法的側面
第7章 類人猿の身振りから人間の言語へ
著者等紹介
トマセロ,マイケル[トマセロ,マイケル] [Tomasello,Michael]
1950年生まれ。1980年、ジョージア大学にて博士号を取得(心理学)。マックス・プランク進化人類学研究所共同所長
松井智子[マツイトモコ]
東京学芸大学教授。1987年早稲田大学教育学部英語英文学科卒業。1988年ロンドン大学ユニバーシティカレッジ文学部英文科修士課程修了、1995年同大学文学部言語学科博士課程修了(言語学博士)。専門は認知科学、語用論
岩田彩志[イワタセイジ]
大阪市立大学教授。1991年、筑波大学大学院博士課程文芸言語研究科言語学専攻満期退学。言語学博士。専門は語彙意味論、生成文法、構文理論、認知言語学、語用論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
10
2008年初出。協力的コミュニケーション(7頁)。つくづく思うが、相手も適度の話してくれないと良好な関係は築けないと実感する。共有志向性とは、志向性を持ち、かつ必然的に社会的な行動現象(64頁)。人間のコミュニケーションの協力モデルの図式は、相手に協力できるのは共通基盤があってこそ、成り立つことを理解される(89頁)。どうしても思うような対話が成立しがたいが、異文化の相手ならなおさらだと思える。本書は、幼子を抱える母親が読むとよいと思った。我が子の特徴、指さしを盛んにやる子供をもっている親なら理解が早い。2014/01/27
roughfractus02
6
志向性の共有が可能になる9ヶ月目の幼児に社会化の第一歩を見出す著者は、コミュニケーションを二者関係的な言語記号の意味伝達モデルに留めず、パラ言語的なコミュニケーションに拡大する。ヒトは身振りの模倣や指示の繰り返しによって志向性を共有する文化的な心理基盤=「異なる視点」を習得する、と著者はいう。さらに本書では、身振りから言語へとこの協調シグナルが浸透した理由を、他集団との戦いに明け暮れた太古に求め、身振りより遠くに届く声に「異なる視点」を含んだ構文を作り、生存確率を上げた種族が生き残ったため、と仮説する。2022/01/04
やす
0
コミュニケーションによってヒトは人間になっていったというか、人間と他の動物とを分けているのは細かなコミュニケーションだと思った。 理系的な本。2017/04/02
borisbear
0
トマセロとスペルベル/ウィルソンの対立論点は仮にあるとしても重要でないと思う。コミュニケーションの動機が協力的か利己的かは重要でない。話し手が嘘をついたりひどい命令をすることはあるし、それに応じ聞き手が話を信じなかったり命令を拒否したりすることもある。しかしそもそもコミュニケーションが失敗することで利益を得る人はいない。利害対立する相手でもまず人間として扱い話の焦点や意図を協調的に推察するスキル。それが真に重要であり人間最大の特徴であるというのが本書の主題である。2015/09/19
ozapin
0
言語以前の身振り、指さしに注目した本。たぶんそうなんだろう。2014/02/08
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- 和書
- 戦争と結婚