出版社内容情報
人間はどのくらい合理的でなくてはならないのか?従来の理想化されたモデルに代えて、有限な資源のなかで生きる現実的な認知行為者の合理性のモデルを構築する。
従来の哲学が、きわめて理想化された合理性の概念を無批判に受け入れ前提としてきたのに対し、本書でチャーニアクが問題とするのは現実の人間の合理性である。人間が合理的であるために要求される下限としての「最小合理性」を追求し、認知科学や計算量理論とも整合的な現実的なモデルを作り上げる、すぐれて足腰の強い哲学の試み。
[関連書] S.P.スティッチ 『断片化する理性』 (勁草書房刊、双書現代哲学4)
序
Ⅰ 最小の行為者
第一章 最小合理性
1 「心的なものの自律性」
2 信念理論の二つのタイプ
3 第三の理論――最小合理性
4 理想的演繹能力
5 最小整合性
6 あいまいさ
7 補助理論
8 最小規範条件
第二章 実行可能な推論
1 実行可能性理論の役割
2 普遍性
3 その他の実行可能性順序
4 「不自然な」演繹体系
5 構成的推論
6 「……ということを信じること」
7 非言語的信念
第三章 合理性と人間の記憶の構造
1 理想化された記憶
2 より現実的なモデル
3 常識心理学
4 合理性の二つの基準
5 効率的な再生
6 探究を選択する
7 限りある検索
8 収穫逓減
Ⅱ 認識論的な含み
第四章 「論理の普遍的受容」
1 理想的な行為者
2 決定不可能性
3 計算量
4 最小合理性
5 「認識的演繹定理」?
6 論理の実行上の十全性
7 メタ理論的な十全性に抗して
8 実行上の麻痺
9 現実世界との関連性
10 「論理的真理を救え」
第五章 特別理由要請
1 「理にかなった人」
2 「超越論的」根拠
3 プラグマティズムとネオ・プラグマティズム
4 心理主義的要請 vs 絶対的要請
5 最小の要請
6 発見法音痴の愚か者
7 探究の選択
8 破 綻
第六章 知識の限界
1 ノイラートの船
2 オッカムのかみそり
3 有限性の苦境
4 翻 訳
5 検証主義
6 最小行為者
7 カントの論証
原 注
訳 注
訳者解説(中村直行)
監訳者あとがき(柴田正良)
参考文献
事項索引
人名索引
内容説明
従来の理想化されたモデルに代えて、現実的な認知行為者の合理性を探究する強靱で説得的な議論。
目次
1 最小の行為者(最小合理性;実行可能な推論;合理性と人間の記憶の構造)
2 認識論的な含み(「論理の普遍的受容」;特別理由要請;知識の限界)
著者等紹介
チャーニアク,クリストファー[チャーニアク,クリストファー][Cherniak,Christopher]
1945年生まれ。1973年にオックスフォード大学で文学士号、1977年にカリフォルニア大学バークレー校で博士号を取得。元メリーランド大学哲学部教授
柴田正良[シバタマサヨシ]
1953年生まれ。1982年、名古屋大学大学院博士課程単位取得満期退学。金沢大学人文学類教授
中村直行[ナカムラナオユキ]
1964年生まれ。2006年、金沢大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。金沢学院大学経営情報学部准教授
村中達矢[ムラナカタツヤ]
1973年生まれ。2007年、金沢大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。金沢大学非常勤講師
岡庭宏之[オカニワヒロシ]
1966年生まれ。1998年、金沢大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。塾講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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