出版社内容情報
多数の手紙と『方法序説』,バイエをはじめ多くの研究成果と各種の文献を渉猟し思想的展望をえるまでのデカルト思想の形成・歩みをとらえ形而上学の解明へとむかう。
『方法叙説』によれば、人文学にもスコラ哲学にも失望して
これらを見切り、書物を捨て、「世間〔世界〕という大きな本」
をのみひもとくべく、「私の青春の残りを、旅行に、宮廷や軍
隊を見ることに、さまざまの気質や身分の人々と交わることに、
種々の経験を摘み入れることに、運命が私に提供する出来事と
の出会いのうちで私自身を試練するということに」用いよう
(DM,9)と、デカルトは考えたのである。 Ⅲ章より
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【目次】
デカルト その人と作品
― デカルト的思想の形成 ―
Ⅰ ワレワレハ大人ニナル前ハ皆子供デアッタノダカラ・・・・・・
Ⅱ 数学ガトリワケ私ノ気ニ入ッテイタ・・・・・・
Ⅲ 世間〔世界〕トイウ大キナ本ノ中ニ・・・・・・
Ⅳ ・・・・・・終日独リ炉部屋ニ閉ジコモッテ・・・・・・
Ⅴ 独リ暗夜ヲ行ク人ノゴトクニ・・・・・・
Ⅵ ・・・・・・世間〔世界〕ノ中ヲココカシコト流転ッタノミ・・・・・・
Ⅶ 与エラレタ名声ニフサワシキ者ナランガタメニ・・・・・・
Ⅷ 良ク隠レシ者コソ良ク生キタリ・・・・・・
Ⅸ 書キ認メシナバ、ソハ秘メテ九年マデ温メラレンコトヲ・・・・・・
Ⅹ 死ハ重クノシカカル
万人カラハ余リニモ知ラレ
オノレニハ知ラレズシテ死スル者ニ
ⅩⅠ ワガ魂ヨ、イザ、出立ツベキ時ハキタ。
内容説明
遍歴と思索。旅に生き、異郷で暮らした近世哲学の「英雄」の生涯を、彼の内に芽生え、育ち、開花した思想との連関において捉える。