出版社内容情報
同じ電車に乗り合わせた、考え方がまったく異なる4人の会話が誘う哲学の世界。あなたは誰が正しく、誰が間違っていると思いますか?
魔女はいるか、科学は万能か、絶対主義と相対主義のどちらが妥当なのか、真理と虚偽の定義とは何か、どんな考えも誤りでありうるか、道徳的正しさについて相対主義でよいのか――プラトン以来の伝統に基づき、架空の会話を通して、真実と虚偽、知識と信念についての哲学的議論とその問題点を紹介していきます。解説、一ノ瀬正樹。
【原著】Timothy Williamson
内容説明
同じ電車に乗り合わせた、考え方がまったく異なる4人の会話が誘う哲学の世界。「真理の形而上学」と「発話の認識論」へようこそ。
目次
第1部 調停の危機
第2部 真理の恐怖
第3部 傲慢の利点
第4部 価値の悪徳
著者等紹介
ウィリアムソン,ティモシー[ウィリアムソン,ティモシー] [Williamson,Timothy]
オックスフォード大学教授。専門は、認識論、哲学的論理学、形而上学、言語哲学など
片岡宏仁[カタオカヒロヒト]
大阪市立大学ほか非常勤講師。英語学博士(関西外国語大学:Grammatical Semantics of Modality, Counterfactuality, and Tense)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Y2K☮
28
狭い世界観と偏った知識で決めつける危うさは広く知られている。だが相手の立場を尊重する相対主義の「あなたがそう思うなら、あなたの視点ではそれが正しい」も実はかなり危険。たとえば侵略戦争やmRNAワクチン。多数決は頼りにならず科学も無謬ではない。会津藩の「ならぬことはならぬものです」は思考停止の感情論を抜きにしたら絶対的真理かもしれぬ。一方で全てが二元論へ帰結すると解釈し得る点がいかにも西洋哲学と映ったのも事実。だが善と悪を明確に分けない一元論も油断すると留保しまくりの無責任な相対主義に堕しやすい。近日再読。2022/06/05
ふみあき
22
電車に乗り合わせた4人の男女が、ディープで激しい哲学談義に花を咲かせる。形式としてはプラトンの対話篇みたいな、あるいは高橋昌一郎の一連の著作のような感じ。全4章で第1章までは面白く読めたんだけど、ロクサーナ(著者の分身的なキャラ)が登場してからは、言葉の定義の厳密さに拘泥する分析哲学的な議論が大爆発で、ボブ(魔女を信じていて、メンバーのなかで一番、抽象的思考が苦手)以上に、ほとんど話について行けなかった。強いて言うなら、私はサラ(科学的合理主義者)の見解に一番近いか。しかし、見かけより遙かに難解な著作。2022/07/04
Don2
8
面白い!4名の立場の異なる登場人物が真理や倫理といったトピック周りを議論する。私、哲学書の中でもこういう議論がうねりながら進んでいく様子を描写したモノが好きなのです。知的なぶら歩き番組的な。自分はザックと似た相対主義者をもって任じているのですが、相対主義の行動原理になりえない机上の空論っぽさを改めて指摘されたようでグサッときました。後半に進むにつれて論理学っぽさが増して論を追えなくなってきたので、再読予定。本書と同じく相対主義を議論している、野矢先生の"語りえぬものを語る"も機会を見つけて再読したい。2022/06/10
hatman
8
言葉による認識論。 英国っぽいユーモアを交えて、論理をこねくり回す哲学。4人の会話で論理展開するのでテトラローグ。2022/03/11
さとまる
6
陰謀論や反ワクチンなどの似非科学がはびこるご時世だからこそ読んでみたくて読んだ。しかし、私の理解力の欠如からか予想したような知見は得られずなんだか煙に巻かれた印象を受けた。たまたま列車に乗り合わせたサラ(科学至上主義)、ボブ(スピリチュアル)、ザック(相対主義)、ロクサーナ(教師役)の4人の会話劇のような内容で、真偽や道徳的判断など4つのテーマが語られる。私はサラと同じ見解なので彼女への批判を自分への批判として考えながら読んだ。2022/12/31