出版社内容情報
飯田 隆[イイダ タカシ]
著・文・その他
内容説明
哲学とは何か。分析哲学とは何か。そして、哲学はどこへ向かうのか。一般向けに書かれたエッセイを、著者本人の構成によって収録。哲学という営みを深く捉える強靱な思索を示す。
目次
序論 哲学の未来のために
1 分析哲学とは何か?(哲学と「哲学の言葉」;分析哲学としての哲学/哲学としての分析哲学 ほか)
2 フレーゲとウィトゲンシュタイン(フレーゲ;論理の言語と言語の論理 ほか)
3 真理・様相・意味(真理;論理学におけるモダリティ ほか)
4 日本における分析哲学(哲学言語を作る―近代日本の経験から;近代日本における科学と哲学 ほか)
著者等紹介
飯田隆[イイダタカシ]
1948年札幌市に生まれる。1978年東京大学大学院人文科学研究科博士課程退学。現在、慶應義塾大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mim42
13
分析的な伝統を持つ哲学に関するエッセイ集。著者の別の著作「言語哲学大全」を読んだ時私はM1の学生だったが、あの頃はウィトゲンシュタインやフレーゲ教に酔わされていた。今飯田の文章に接して「洗脳は解けていた」と実感するが、飯田自身は信者的発言をしている(と私は信じている)。日本の哲学関係研究者の多くは実際に哲学をしているのではなく哲学史家ではないかと言う著者だが、本著にも哲学史的な文章が多い。寄せ集めた文集のせいか主張のまとまりや流れはない。「分析哲学」から哲学へ。今の飯田の研究が言語学っぽく見えたが。2024/01/18
人生ゴルディアス
5
二十年くらい前に『言語哲学大全』などを読んでいたが、一通りこの分野のものを読んでしまうと(言語の意味とは何か?に強い答えを求めるのは無理そうだとわかる辺りで)難しい本を読むだけの気力もなくなってしまった。たまに本屋で棚を眺めても、果たしてこの分野は何か進歩しているのかと謎に感じる昔ながらのラインナップだった。それで本書を読んでみたのだが、うーむ……。ただ、科学哲学/分析哲学を巡る社会の流れみたいなものは非常に興味深かったし、自分が感じていたことがそのまま書かれていたりして、そこは大変良かった。2022/07/02
zunzun
4
『言語哲学大全』の新版を刊行中の飯田隆氏による文集。雑誌などに掲載されたものの寄せ集めであるので、大味な感じがどうしても否めないし、体系的に理解するというわけでもない。自身は《分析哲学者》ではないという。分析哲学とはどういうものなのか。その歴史や60年代後半に学生であった事跡とを繋げ合わせ、日本や世界の哲学をふりかえっている。『概念記法』で有名なフレーゲへの評価がとりわけたかく、ウィトゲンシュタインは哲学としては「アマチュア」という評価をくだしているが、専門家が進み自然主義化した哲学が必ずしも正しいとは2024/11/25
Yoshi
4
著者の過去の論文の再録集。 そのため、同じような内容が繰り返されている。また、書評に対する応答など、この本を読むだけではわからない点もある。 具体的に、分析哲学がいままで、あるいはこれから、どのように知識に対して貢献することができるのかはわからなかった。解説記事を中心としていて、深く突っ込んだ議論はほとんどない。 個別の論文の中には、面白いものもあったが。 2024/01/12
愛楊
3
2020年出版。けいそうブックスの一であり、『現代思想』や『思想』などへの著者の過去の寄稿がもとになっている。けいそうブックスは一つ学術書としてはランクが低いレーベルである。研究のために読む必要はない。私自身は後期ウィトゲンシュタインよりもフレーゲを重視する著者の姿勢に疑問を抱いているし、また著者が手掛けていた日本語の形式意味論についても、2024年の分布意味論が実質的に勝利した現在においてはあまり輝ける研究ではないといえるだろう。2024/05/28