出版社内容情報
彼は姿を現し、自由の聖なる旗を掲げるだろう──絶対君主政と商業の興隆のもとで、政治体制の腐敗と人民の自由喪失に直面した哲学者は、どのようにして「再生」=「革命」を構想したのか。同時代の世界の激動のなかで、「自由な主体」の出現を探し求めたディドロの考察の射程が、「専制批判」「文明化」「共和主義」という主要テーマの読解を通じて、いま明らかになる。
内容説明
「彼は姿を現し、自由の聖なる旗を掲げるだろう」―18世紀末フランスの絶対君主政と商業の興隆のもとで、国制の腐敗と大衆の隷属状態に直面した哲学者は、人民の「再生」=「革命」をいかに構想したか。専制批判・文明化・共和主義という三つのテーマの読解を通じて明らかになる、来るべき「解放」の思考。
目次
1 ディドロの政治的言語における三つのイメージ(いくつかの方法論的予備考察;オデュッセウスの同伴者たちを貪り食うポリュフェモス;ブリアレオスを縛りつける;三人のエリザベス;結論)
2 植民地建設と文明化―ディドロによる「ロシアの文明化」論とその周辺(ヒュームとハリントン―「文明化」の観念の考古学に向けて;ディドロとロシア―文明化と農奴解放;「植民と文明への定着」―ベーコンとイエズス会士たちの先例;ボードーによる「ロシアの文明化」論;ディドロとボードー―政治的プロジェクトから歴史過程へ;結論)
3 最後のディドロと政治的雄弁(雄弁の選択;老いたアイソンを切り刻んで若返らせるメディアのイメージ―ホッブズへの異議申し立てと雄弁の名誉回復;ディドロの関心を惹いた同時代の政治的出来事と雄弁;共和主義の雄弁と政治思想の二つのパラダイム;雄弁と公共空間の改鋳)
著者等紹介
ゴッジ,ジャンルイジ[ゴッジ,ジャンルイジ] [Goggi,Gianluigi]
1944年、イタリア共和国ピエモンテ州アレッサンドリア県カステラッツォ・ボルミダ生。サルディニアに育つ。ピサ高等師範学校高等専修課程卒。2014年までピサ大学ロマンス語・ロマンス文学科教授。専門は、フランス啓蒙の歴史および18世紀政治思想史。現在『ディドロ全集』(エルマン社)編集委員、レナル『両インド史』批評校訂版(国際18世紀研究センター)編集委員、ヴォルテール『習俗試論』批評校訂版(ヴォルテール財団)編集委員
王寺賢太[オウジケンタ]
1970年生。パリ西大学博士(文学)。京都大学人文科学研究所准教授。思想史。『両インド史』批評校訂版編集委員
逸見龍生[ヘンミタツオ]
1964年生。新潟大学人文社会・教育科学系列准教授。フランス文学・思想史
福田真希[フクダマキ]
1985年生。名古屋大学博士(法学)。中部大学全学共通教育部講師。フランス刑事法史
川村文重[カワムラフミエ]
1972年生。京都大学博士(人間・環境学)、エクス‐マルセイユ第一大学博士(文学)。現在、京都大学人文科学研究所非常勤研究員など。18世紀フランス文学・思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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