出版社内容情報
現代において哲学はどのようなものでなければならないのか。論理実証主義者たちの営みを修正しつつ前進してきた科学哲学の歩みの再考。集団的認識論のもつ意義。
科学哲学とは20世紀における認識論の試みであった。自然科学が発展し、論理学が整備された時代に、哲学とはいったい何なのか。論理実証主義からクーンのパラダイム論を通過して開けてきたのは、「科学と文化と哲学」の相互関係を再び考え直す道だった。集団における承認や相互信念のあり方に着目する立場から、科学哲学をふりかえる。
[関連書] 金杉武司著 『心の哲学入門』 (勁草書房刊)
まえがき 科学哲学という歩みの再考
第Ⅰ部 科学哲学小史 論理実証主義から科学論まで
第一章 論理実証主義という出発と誤り
1 論理実証主義とは何か
2 論理実証主義が抱えた諸問題
3 論理実証主義の誤りと意義 クワインの全体論から
第二章 『論理哲学論考』の世界 ヴィトゲンシュタインの前期哲学
1 『論考』の形而上学
2 命題論理の体系と『論考』
3 『論考』の誤り
第三章 批判的合理主義という個人主義の哲学 ポパーのアプローチ
1 ポパーの科学哲学
2 ポパーの社会哲学
3 ポパーの三世界論
第四章 科学哲学と数学基礎論 論理学への招待
1 伝統的論理学 定言三段論法
2 現代記号論理学
3 現代論理学と数学基礎論の形成
4 数学基礎論の発展
第五章 パラダイム論の視点 クーンの科学哲学
1 クーンのパラダイム論
2 パラダイム論と集団の認識論
第六章 パラダイム論を超えて
1 科学的研究プログラムの方法論 ラカトシュのアプローチ
2 問題解決としての科学活動 ラウダンのアプローチ
3 科学知識の社会構成主義 科学論のアプローチ
第Ⅱ部 科学と文化 科学哲学のための形而上学
第七章 言語の多元性・多層性
1 形而上学的実在論の検討
2 唯名論的世界概念
3 語りの多元性と物理主義
第八章 事実の分類
1 内省的事実
2 社会的事実
3 制度的事実と規則体系
第九章 知の伝承と集団的認識論
1 知の伝承
2 権威と正当化
3 生成される知と伝承される知
第十章 社会的構成とは何か
1 何についての社会的構成か
2 分類がもたらす相互作用
3 科学知識の社会構成主義への批判
あとがき
文献表
人名索引/事項索引
内容説明
自然科学が発展し、論理学が整備された現代において、哲学はどのようなものでなければならないのか。論理実証主義者たちの営みを訂正しつつ前進してきた、20世紀における認識論=科学哲学の歩みを再考し、集団的認識論の意義を問う。
目次
第1部 科学哲学小史―論理実証主義から科学論まで(論理実証主義という出発と誤り;『論理哲学論考』の世界―ヴィトゲンシュタインの前期哲学;批判的合理主義という個人主義の哲学―ポパーのアプローチ;科学哲学と数学基礎論―論理学への招待;パラダイム論の視点―クーンの科学哲学;パラダイム論を超えて)
第2部 科学と文化―科学哲学のための形而上学(言語の多元性・多層性;事実の分類;知の伝承と集団的認識論;社会的構成とは何か)
著者等紹介
中山康雄[ナカヤマヤスオ]
1952年静岡県生まれ。1975年京都大学理学部卒業。1987年ベルリン自由大学哲学部哲学博士(Dr.phil.)。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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