出版社内容情報
記号論は現在では下火になっているが、記号への問いは依然として重要である。それは、情報といわれるものの担い手が記号であることを考えれば明らかであろう。問題は記号論が常に時代の要請に応えられる使い勝手のよいものに仕立てあげられているかどうかである。本書はそうした新しい記号論に向けて、いくつかの論点を提起しようとするものである。書名の「恣意性」は、ソシュール言語学(記号論)の第一原理と呼ばれる。つまり本書はソシュールに叛旗を翻えすことを重要な柱の一つにしている。その他言語、絵画、音楽などをめぐる論稿を収め、総じ
内容説明
かつてあれほど盛んであった記号論が衰退した原因を探り、人間の学としての再生をめざす。
目次
1 記号論の基礎概念(恣意性の神話;「自然的記号」という誤謬;はじまりの文字のために)
2 「示し」の記号論(像と類似―いつイメージなのか;画像と言語―いつ言語なのか)
3 表情・芸術・音楽(記号過程の表情原理―表情あるしぐさとしての言語;芸術と記号機能;記号の精神からの音楽の誕生)
補説 グッドマンの記号主義