出版社内容情報
第一部(既刊)では哲学(ヘーゲル、フッサール、フレーゲなど)と精神分析(フロイト)から出発してテクストの理論的基礎を構築し、第二部(近刊)ではマラルメ、ロートレアモンのテクスト分析の具体例を呈示している。
第三部(本書)では、国家という政治経済機構の内部における文芸テクスト(詩的言語)の使命を、古代宗教において秘儀の果たした社会的役割とのアナロジーのもとに論じる。特に19世紀後半のフランス(金融資本主義の危機、父権の崩壊、宗教の衰退、民衆の蜂起など)において主体とそれを支えるディスクールが変容する様が
テクストをめぐるマラルメとロートレアモンの冒険
目次
Ⅰ 経済・社会構成体内でのテクスト
1 過程の配置=配置換え
2 前未来
3 いささかも惰性的でない実践
4 フェティッシュな第三共和制
Ⅱ 権力及び階級意識の維持と制限
1 マルクスより見たフランスにおける階級闘争
2 あらゆる集合体の集合であるという国家の幻想
3 マルクスとルカーチによる階級意識―生産への貢物
4 法を認識する前に「欲望」を分析すべし。エリートたち
5 権力争奪戦にあたっての右翼と左翼
6 生産社会もしくは消費社会への右翼的批判
7 折衷主義の中道派―象徴派の探求の避難所、主体の経験にとっての帰着点
8 パリ・コンミューンの時期、マラルメは皮肉に身を処する
9 ロートレアモン、あるいは挫折したコミューヌ
Ⅲ 政治的、あるいはその他のアナーキズム
1 社会・シンボル面での閉塞への反撃―あらゆる禁止の撤廃
2 作家=用心深いアナーキスト
3 テロとしての書物
4 議会制国家の好ましからざる構造
5 物書きの弁護―匿名の生産者
Ⅳ 結婚と父親的機能
1 家族、意味の行使に必要な妥協
2 マラルメにおける象徴的父性と禁じられた享楽―『エロディアード』
3 生産関係と再生産関係のあいだの裂け目。抑圧された母すなわち意味に
表しえない生殖能力
4 「芸術家」―ブルジョワ共和制におけるシンボル権力の受託者
5 デュカスの第二の(シンボル的)誕生―マルドロール
Ⅴ 秘儀―社会コードの裏地
1 通過儀礼―主体とその国家の法への服従のあいだの媒介
2 英雄なき社会、ブルジョワ共和制
3 男根を持つ母親―詩人と英雄の母
4 ブルジョワ国家において秘儀に代わる美の宗教
5 エロティシズムの社会化の一つの道
Ⅵ 主体不在の権力の審級
1 サロン
2 女主人か、「足元にひざまづく」女か
3 金銭・著者・読者
Ⅶ 境界線を超えて
1 ブルジョワ的な植民地主義及びナショナリズム。国際色豊かな「デカダ
ン派」
2 マラルメとヘーゲル
3 マラルメと英語
Ⅷ 至高権を求めて―英雄・演劇・歌
1 至高権についての二つの考え方―供犠祭司と騒ぎ立てる子供
2 キリスト教の妥協
3 世紀末における心霊論者の復帰
4 マラルメと宗教
5 マルドロール対全能の神―歌に対するル・サンボリク
6 マラルメにおける英雄の劇―「書物」
7 子どもあるいは父の死。死せる子かつ/または生ける作者―
「アナトールの墓」
8 作者か踊り子か
9 切り離されたテクスト
「知性が激怒した」
原注
訳注
訳者あとがき
年表
文献一覧
索引
内容説明
19世紀後半のフランス。国家という政治経済組織の内部における文芸テクストの役割と命運を、古代宗教の秘儀とのアナロジーで考察。マラルメとロートレアモンにおける言語主体とディスクールのドラスティックな変革をレポート。
目次
1 経済・社会構成体内でのテクスト
2 権力および階級意識の維持と制限
3 政治的、あるいはその他のアナーキズム
4 結婚と父親的機能
5 秘儀―社会コードの裏地
6 主体不在の権力の審級
7 境界線を超えて
8 至高権を求めて―英雄・演劇・歌
「知性の激怒した」